1時間半かけて通学
退寮したのがいつだったか、正確には覚えていませんが、寮に置いてある布団などの自分の所持品を運び出さなければならなかったので、学期中であるはずはありません。恐らく夏休み中か、もしくは試験が終わった後の秋休みかそこらだったと思います。寮では毎朝、ラジオ体操とちょっとした朝礼のようなことをやっていましたが、退寮が決まったので、その朝礼の時にみんなの前でお別れの挨拶をしました。一応半年間、一緒に生活してきたので、多少の寂しさはあったとは思いますが、それでもやはりとても晴れ晴れとした気持ちであったと思います。寮から出られて、とても嬉しかったと思います。実家に戻り、以後およそ1時間半かけて学校まで通学することになりました。
私が通っていた高校を運営している学校法人は、幼稚園から小学校、中学校、おまけに工業高専まであるマンモス学園(現在では大学まで揃っているそうですが、当時はまだありませんでした)であり、通ってくる全ての生徒を集めると何千人にもなったと思います。私の実家からその高校まで通学する場合、東京近郊の私鉄の急行も止まらないような、本当に何もない駅で降りることになります。そこからはバスで、15~20分ぐらいかかるようなところに高校はありました。駅からその学校まで徒歩で通えるところにあれば、少しは違った話になっていたかもしれませんが、駅から徒歩で通うのは無理な距離にありました。
実家から通い始めた頃は、確かに早起きしなければなりませんでしたが、それほどの苦痛もなく通学できていたように思います。これだったら、寮になど最初から入らずに通っていればよかったと思っていたと思います。でもあるときから急に、バス停がものすごく混雑するようになりました。なんで急に混雑するようになったのか、正確な理由は良く覚えていませんが、多分、バスの運行会社と学校、自治体が絡んだ問題だったのだろうと思います。前にも述べましたが、高校だけでも一学年1000人近くいたと記憶しております。なので、学園全体ではどれくらいになるかわからないくらいの生徒が通ってきていました。それが朝の通学時間に、何もない駅のバス停に集まってくるのです。毎朝、何百人もの生徒が絶えずバスの順番待ちをしている状況になっていました。今から思い返すと可笑しくなってしまいますが、みんなおとなしく順番待ちなどしていません。バスがやってくると、おきまりのように生徒が殺到し、押し合い圧し合いする状況に必ずなってしまいました。バスの運転手も怒って、ドアを閉じて出発してしまうということが続きました。余裕をもって家を出てきているはずなのに、結局遅刻してしまうことに納得ができず、頭にきて発狂しそうになったりもしました。こんな日が何日も続き、遅刻してしまうことも増えていきました。学校側も交通委員の生徒を多く配置させるなどの対策を講じたようですが、そもそも人が密集した状況は私自身かなりストレスを感じるので、バス停が混雑する時間帯を避けるために、毎朝さらに早めに家を出ることにしたのです。