大検合格
私は1986年の4月に高校を中退し、その年に行われた大検を受検しました。あれから30年以上経過し、名称も高校卒業程度認定試験と変更され、制度の内容も私たちの時とは変わっているところもあるとは思いますが、それほど変わっていないところもあると思うので、比較のためにも私が受検した時の大検のことについて簡単に触れておきたいと思います。
現在の制度のもとでは、合格しなければならない科目数も少なくなっているようですが、私が受検した当時は、大検の合格者となるためには11科目(もしくは12科目)に合格しなければなりませんでした。必ず受検しなければならない科目と選択科目があり、それぞれ合格に必要な科目数に達することが求められました。必ず受検しなければならない科目は、国語、数学、理科、社会の4教科4科目(「現代社会」を受検する場合)あるいは5科目(「倫理」及び「政治・経済」を受検する場合)あり、さらに選択科目として数学、理科、社会、外国語などの教科から選択した7科目に合格しなければなりませんでした。11科目(あるいは12科目)に合格しなければならないとすると、かなりの負担感があるとは思いますが、必ずしも1年で全ての科目に合格する必要はありません。テストを受けた科目に合格することができれば、その科目は次年度以降のテストで受ける必要はなく、不合格になった科目や新たに受検した科目に合格し、必要な科目数を満たすことができれば、大検合格となります。さらに、高校や高専などの中退者の場合には、受検科目について一定の単位を学校で修得しているのであれば、必要な証明書を添付することによって免除されることになっていました。私の場合であれば、高校3年の4月に退学したのですが、結果としてまるまる2年間は高校に在籍していたことになるので、一部の科目についてはすでに単位を習得したものとして認定され、免除されることができました。私の場合には、「現代社会」、「数学I」、「理科I」、「保健」の4科目が免除になりました。「現代社会」が免除になりましたので、11科目に合格しなければなりませんが、そのうちの4科目が免除されたので、7科目に合格すれば良いことになりました。自分の得手不得手を考えながら、あと7科目に合格すればいいのですが、私は必修の「国語」とともに、「古典」、「日本史」、「数学II」、「化学」、「生物」、「英語」を選択したのでした。私は高校にいたときには、古典、漢文で赤点ばかりとっていたので、今から思えば、もう少し慎重に科目を選択すればよかったと思います。
10月の末に試験の結果が送られてくることになっていました。正直に言えば、合格できた自信はあったとは思いますが、私自身苦手としていた「古典」を選択科目として受検してしまっていたので、ひょっとしたらという不安を完全には拭うことができませんでした。一科目でも不合格になってしまうと、大学入学資格を得ることができなくなってしまいます。もし大学を受験したいのであれば、次の年に改めて必要な科目数を受検し、合格基準を満たさなければなりません。なので、試験結果が郵送される日が近づいてくるにつれて、プレッシャーのため落ち着かず、しょうがないので、イライラする気持ちを落ち着かせようと、母方の祖母の家に遊びに行き、近くの寺院や名勝を巡ったりしていました。合格発表の結果は、家に郵送されてきた結果を家族から電話で伝えてもらいました。やっぱり、とても安心したと思います。大検をパスしなければ大学を受験することもできないのです。幸いなことに一年で必要な科目数を満たすことができました。大検に合格するまでは、なんとなく高校のクラスメイトたちから取り残されたような気持ちになっていたと思いますが、また彼らと同じ土俵に戻ることができたことが嬉しく、とりあえずまた先に進むことができて安心することができたのではなかったかと思います。