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新入生オリエンテーション

梅雨明けしてから、毎日暑い日が続きますが、皆様もお体にはお気をつけください。私は、この炎天下の中、ランニングをして大量の汗をかいてしまい、少しバテてしまいました。熱中症対策をしっかりとして、無理をしない程度に頑張ろうと思います。三代

新入生オリエンテーション

 

 地球の砂漠化という問題に興味を持ち、大学で砂漠緑化について勉強したいという希望を持って千葉大学園芸学部環境緑地学科にやってきたわけですが、環境緑地学科という学科はいったいどのような学科なのでしょうか。前にも書きましたが、私は高校のはじめの頃からすでに落ちこぼれてしまっており、理科の化学だけしか得意ではありませんでした。千葉大学園芸学部環境緑地学科は、化学だけで勝負でき、名前も私が興味を持っていた砂漠の緑化とつながっていそうだったために、受験したいと思ったわけです。入試前に、高校の時の友人と千葉大の学園祭に遊びに行って、千葉大がどのような学校か探りに行ったりもしました。ちょうど環境緑地学科の学生たちが焼きそばか何かの露店を出していたので、環緑(環境緑地学科を縮めて環緑と言っていました)でどのようなことを勉強できるのかについて話を聞いたりして、大学入試前にいろいろと情報を集めたりもしました。それでも、どのようなことを実際に勉強できるのかということについては、入学する前には自分自身あまり明確ではありませんでした。多分、話を伺った先輩方も、何を勉強することができるのか、あまりわかっていなかったのではないかと思います。

 

 大学に入学し、みんな嬉しかったのだろうと思います。新歓コンパで先輩方から手荒い祝福を受け、入学したばかりの頃は、みんな二日酔いでフラフラになりながら大学に通い始めていました。新入生は大抵、大学や所属する学科のオリエンテーションを受けることになると思いますが、私たちも入学したての頃に西千葉の校舎で環緑のオリエンテーションを受けたと記憶しています。そのオリエンテーションの中で、はじめに当時の学科長から、いの一番に

「環境緑地学という学問は存在しない」

という言葉を浴びせられたのでした。この学科長の言葉は、自分が所属している学科を否定するようで、なんだか矛盾しているように聞こえるかもしれません。

 

 今日ではそれほど珍しい学科ではないのかもしれませんが、当時は環境緑地学科というのは、ちょっと耳慣れない新しさのある名前でした。なので、私のように砂漠の緑化に興味をもってこの学科を目指してくる学生や他の環境問題に興味を持って受験したという学生がこれまで大勢いたのだろうと思います。毎年このような学生からの質問に答えてきた経験から、学生たちの機先を制して、当時の学科長はこのような言葉をいの一番に投げかけられたのだろうと推察します。この学科長の言葉の意味は、環境緑地学とは、それぞれ専門の領域を持ついくつかの分野が集まってできた学際的な総合科学であり、環境緑地学という単一の学問分野は存在しないということでした。それぞれの分野の専門家が寄り集まり、環境緑地学に寄与しているということであり、大学では環境緑地学そのものを学ぶのではなく、それぞれの専門分野についてしっかりと勉強しなさいということだったのだろうと思います。

 

 現在では環境緑地学科はすでに消滅してしまっており、残念ながら確認する手立てがないのですが、当時は5つくらい研究室があり、それぞれ環境植栽学研究室、緑地保全学研究室、緑化植物学研究室、植物病学研究室、環境生物学研究室と名乗っていたと思います(昔の記憶で確かではないところもあるかもしれません)。環境植栽学、緑地保全学、緑化植物学の研究室は造園系もしくは植栽系の研究室であり、環境生物学と植物病学の研究室は生物系の研究室と大きく括られていたと思います。今となっては、環境緑地学科が成立した背景について知る由もないのですが、当時の学科長の言うように、とても幅の広い、様々な分野にわたる学科であり、総合科学としての可能性を感じさせます。しかし悪く言えば、寄せ集めとも言われてしまうのではないかと思います。実際、造園系と生物系の研究室の間には大きな溝があり(校舎も分かれていました)、仲も良くなく、交流もあまりなかったように記憶しています。学科長は学際的な総合科学だとおっしゃられていたように記憶していますが、幅の広い様々な研究室の間の連携は、残念ながらあまり盛んではなかったという印象でした。実際に環境緑地学科は消滅してしまっており、研究室間の連携の難しさを物語っているのではないかと思います。