日本とアメリカの違い
前節で、うまく喋れるようになることにそれほど拘らずに、それよりも英語でわかりやすい文章を書けるように努力しようという戦略に切り替えたと述べましたが、これには理由があります。というのは、英作文の先生がとてもわかりやすく、アメリカ人や西欧諸国の人々のレポートの書き方や、もっと根源的な、彼らが文章を書く上での思想といいますか、彼らにとってどういう文章が良い文章なのか、といったことをとても明快に説明してくれたためです。そのおかげで、英語の文章を書く時に私が気を付けなければならないところがとても明確になりました。日本の中学、高校、大学、大学院と、12歳から10年以上英語を勉強してきましたが、根本的に、日本人が考える良い文章とアメリカ人や西欧諸国の人々が考える良い文章は異なっています。なので、日本人が書く日本語の文章の感覚で英文を書いてしまうと、恐らくわかりにくい文章になってしまうのではないかと思います。そのようなことを日本の学校での語学教育では決して教わることができなかったので、アトランタの語学学校で受けた数ヶ月の英語の教育は、私の英語力にとってとても重要なものだったと思います。以後、研究をしていく中で英語の論文をこれまで10本以上書いてきましたが、その基礎にあるのは、アトランタの英語学校で勉強した英語のおかげであるということができます。その意味でも、アメリカに滞在した数年間の中で、私の以後の人生にも通ずる最も重要な経験をさせてもらうことができたのではないかと思います。私が語学学校で学んだことの中でも特に重要だと思ったことについて、2、3述べたいと思います。