大学町

大学町

 

 私のことを受け入れてくれたデラウェア大学は、デラウェア州のニューアークという町にあります。私の記憶では、フィラデルフィアの空港からリムジンバスで1時間くらいかかったと思います。あれからすでに20年以上経っており、鉄道が町の近くまで延長され、かなり交通の便がよくなったという話を以前聞いたことがありますが、いま町がどうなってしまっているのか、ちょっと想像もつきません。

 

 大学の規模としては、比較的大きな方に分類されるのではないかと思います。恐らくCollege of Agriculture and Natural Resources(農業および天然資源学部)の研究や実習で使われていたのだろうと推察しますが、牛が何頭か放されているような広大な牧草地が、大学の構内にありました。千葉大学園芸学部にも、比較的大きな農場が大学の構内にありましたが、さすがに牛まではいませんでした。牛が放たれている牧場のそばを通りかかるたびに、このような設備が整った環境で勉強し研究できることに期待を感じていました。

 

 ニューアークという町が、アメリカではどのような町として定義され分類されるのか、詳しくはわかりませんが、私が滞在していたときの印象では、町の中に大きな大学があり、その大学の周りにはアパートがたくさん立ち並んでいて、その住人の多くは大学の学生であるといったような、大学町のような雰囲気がありました。学校自体とても広いので、バスが校内を定期的に巡回しており、さらに足を延ばして、付近にいくつかあるアパート・コンプレックスまで順番に巡回してくれていました。もちろん無料でです。なぜ大学町だと私が感じたかと言いますと、冬のクリスマス・ホリデーになると大学には人が誰一人いなくなりましたし、町も静まり返って、誰とも顔をあわせることがなくなってしまったためです。日本のお正月のように、アメリカではクリスマス・ホリデーには実家に戻り、家族と共にゆっくりと時間を過ごすことになっているそうです。日本にいたときと同じ感覚で、クリスマス・ホリデー中も学校に行っていると、本当に誰とも顔をあわせることがありませんでした。ある映画の中で、朝起きたらニューヨークの街に自分一人だけとり残され、歩道を歩いている人も道を走っている車もまったくなく、不安になって誰かを探そうとして、主人公が大声で叫ぶといったようなシーンを見たことがあるような気がしますが、多分その主人公が抱いた不安に近いものがあったと思います。いつもは人でにぎわうような街中や学校で誰とも顔をあわせないと、本当に不安になってしまうことがわかり、ある意味、とても得がたい経験をしたのではないかと思います。


 

 

 

ジョージア・テックでの語学研修の時に使ったハンドブック。あの時にお世話になった英語の先生方のことがとても懐かしく思いだされます。英語が苦手だった自分が、多少なりとも英語を苦にしなくなれたのも、アトランタでの研修のおかげだったと思います。

 

 

ジョージア・テックは、ひと昔前はアメリカンフットボールでも一世を風靡していたと伺いました。カレッジ・フットボールはアメリカの文化の中でとても大きな部分を占めているのではないかと思います。あのスタジアムの興奮は、実際に体験してみないと分からないと思います。デラウェア大学では何回かゲームを観たことがありますが、ジョージア・テックのゲームを一度も見にいけなかったのは残念でした。今でも、カレッジ・フットボールでは、ジョージア・テック・イエロー・ジャケッツのことを応援しています。

 

あの頃が懐かしいです。 三代