昆虫分類学(Insect Identification-Taxonomy)
上述の殺虫剤薬理学の授業と同じ1995年の春学期に受講してしまった、とても大変だったもう一つの授業でした。この授業は、ひたすら主だった昆虫のファミリー(科)を覚えていき、その昆虫を同定する上で鍵となる、まさにキーとなる特徴を覚えていかなければなりませんでした。ペーパーでの筆記試験もありましたが、何よりも50個くらい(私の記憶では)の標本が教室いっぱいに並べられていて、端からその昆虫のファミリーを答えていくというテストがありました。昆虫学科である以上、昆虫の同定ぐらいできなくては、といったところだったのだろうと思います。しかしそれが私にはとても苦痛でした。
私はこれまでたびたび、英語が苦手だった、英単語を覚えられなかった、と述べてきましたが、要は暗記することが苦手なのだろうと思います。多分効率の良い覚え方があるのだろうと思いますが、単調な機械的な勉強があまり得意ではないのだろうと思います。なので、昆虫を同定する際に鍵となる特徴を、ただひたすら覚えていくという、英単語の暗記にも似た作業は、とても苦労しました。昆虫のファミリーの特徴を捉えようとして、昆虫標本をスケッチすることに逃げたりもしましたが、結局は同定の際のキーを覚えなければならず、上述の殺虫剤薬理学とともに、この授業も私にとってとてもつらい時間だったと思います。
私は、泣きたい気持ちを抱きながら、ひたすら昆虫の標本と向かい合っていました。みんなも同じだったのだろうと思います。自分のことで精一杯であり、周囲のことまで気を配るだけの余裕は私にはなかったのですが、驚いたことに、私の前に座っていた学部生の女の子が、突然泣き出したことを覚えています。私と同じように、なかなかキーを覚えられなかったからだと思いますが、わからないからといって泣き出してしまったのでした。私も泣きたい気持ちでずっと昆虫の標本と睨めっこしていたので、彼女の気持ちも痛いほど理解できたのですが、でもわからないからといって本当に泣き出してしまうのかと驚いてしまいました。しかしそれと同時に、日本の大学であったら、わからないからといって泣き出してしまう前に、投げ出してしまう学生がほとんどなのだろうと思いますが、大学生になっても悔し涙を流しながら勉強をしている学生がいるアメリカの大学は、やっぱりすごいなあと感心もしたのでした。
この授業も、結局評価はBであり、人よりも良い成績を得るという野心を満たすことはできませんでした。でもよく学生の間では、なんとかしてサバイブする(生き残る)ということを話題にしていたと思います。特にこのセメスターは、殺虫剤薬理学といい、昆虫分類学といい、私にとってとても大変なクラスを2つも受講してしまい、本当にサバイバルできるかどうかという不安とともに、とてもしんどい思いをしながら勉強していました。もちろんこの時にも自分の殺虫剤抵抗性の研究は同時進行で進めていました。なので、落第することなく生き抜くことができただけでも満足しなければならなかったのだろうと思います。今から思い返してみても、とてもしんどいセメスターだったなあと思います。無事にクリアすることができただけで良かったのだろうと思います。
殺虫剤薬理学といい、昆虫分類学といい、この学期では大変な授業を2つも受講してしまったので、とても大変でした。実験もあまり順調に進んでおらず、とても辛かったです。とにかく、ボーッとしている時間がないように、一生懸命に勉強していたように思います。 三代