投稿論文の要旨

投稿論文の要旨

 

 デラウェア大学で、ものすごくしんどい思いをしながら行ってきたコロラドハムシの抵抗性研究を、投稿論文として発表することができました。私にとって初めての投稿論文であり、ものすごく苦労したこともあったので、感慨深いものがあります。以下に、論文の要旨を和訳したものを掲げておきました。

 

コロラドハムシ(Coleoptera: Chrysomelidae)におけるエスフェンバレレート抵抗性の遺伝様式

 

T. Miyo, C. B. O. Keil, J. A. Hough-Goldstein, and Y. Oguma

Journal of Economic Entomology (1999) 92(5): 1031-1038.

 

要旨

コロラドハムシLeptinotarsa decemlineata (Say)におけるエスフェンバレレート抵抗性の遺伝様式を、量的遺伝学的手法を用いて検討した。野外抵抗性系統に対して2世代にわたって選択を行い、エスフェンバレレート抵抗性の実現遺伝率を推定した。選択実験から得られた殺虫試験データは、この抵抗性系統にはエスフェンバレレート感受性にほとんど遺伝的変異が存在しないことを示した。なぜならば、初期の実験室世代と比べて、選択に対して抵抗性レベルは有意に増加しなかったためである。実現遺伝率は0.45と推定され、中程度の遺伝率を示しているが、しかし有意ではなかった。エスフェンバレレート抵抗性が伴性の不完全劣性という遺伝様式であることを、正逆交配からのF1世代の殺虫試験データが示したことを受け、log LD50値をいくつかの成分に分割した。log LD50値の分割は、性染色体因子の有意な相加的効果と優性効果を検出したが、しかし有意な常染色体因子の効果は検出されなかった。検出された効果に基づいて、エスフェンバレレート抵抗性の優性の程度は−0.262と推定され、エスフェンバレレート抵抗性が不完全劣性であることを示している。本研究は、コロラドハムシにおけるエスフェンバレレート抵抗性は、伴性の不完全劣性であることを確認した。

 

KEY WORDS: Leptinotarsa decemlineata、 殺虫剤抵抗性、エスフェンバレレート、優性の程度、量的遺伝学的解析