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有機リン剤に対する感受性の相関の遺伝的基礎(2)投稿論文の要旨

投稿論文の要旨

 ここまでの結果について、論文としてまとめました。論文の要旨は、以下のようになります。原文は英語ですが、日本語に翻訳しました。

 

キイロショウジョウバエ(双翅目ショウジョウバエ科)における3つの有機リン剤に対する交差抵抗性の遺伝的基礎

 

Takahiro Miyo, Yoshiaki Kono, and Yuzuru Oguma

Journal of Economic Entomology (2002) 95(5): 871-877.

 

要旨

殺虫剤に対する交差抵抗性の遺伝学的基礎を研究するために、我々は3つの有機リン剤マラチオン、プロチオフォス、フェニトロチオンに対する抵抗性の遺伝学的解析を行った。3つの有機リン剤すべてに対して抵抗性と感受性の1雌由来系統を、キイロショウジョウバエの自然集団からスクリーニングしたのち、これらの抵抗性系統、感受性系統との間の染色体置換系統を用いて、染色体分析を行った。これらの染色体分析から、第2染色体および第3染色体の両方が、有機リン剤に対する抵抗性に寄与していることが明らかとなり、この抵抗性系統は少なくとも2つの有機リン剤抵抗性の因子を保有していることを示唆している。しかしながら、それぞれの染色体の相対的な寄与は、異なる有機リン剤に対する抵抗性において異なっていた。我々はさらに、この染色体のそれぞれにおける、それぞれの有機リン剤についての抵抗性因子の遺伝学的マッピングを行った。それぞれの抵抗性因子は、それぞれの染色体のおよそII-62およびIII-50付近のポジションにマッピングされた。染色体分析と遺伝学的マッピングの結果は、キイロショウジョウバエのある1つの自然集団には、有機リン剤に対する交差抵抗性の異なるパターンを示す少なくとも2つの抵抗性因子が存在することを明らかにした。この研究に基づいて、自然集団における殺虫剤抵抗性の遺伝的変異と、交差抵抗性のメカニズムの単純なだけでなく複雑な側面も議論した。

 

KEY WORDS: キイロショウジョウバエ、殺虫剤抵抗性、交差抵抗性、遺伝学的マッピング

 

 これらの抵抗性遺伝子については、以後の研究の中で、より分子遺伝学的に分析することになります。