フランス・トゥールーズ
フランスのパリに飛行機で到着したときには、もうすでに夜遅くだったと思います。バスに乗ってパリの市街地まで出て、そこから歩いてオルセー美術館の近くに予約していた宿に泊まりました。せっかくなので、できればオルセー美術館やルーブル美術館などを巡りたかったのですが、このときはそのような時間を取ることができませんでした。次の早朝にはフランス南西部のトゥールーズにむけて長距離列車で移動しなければならず、アセチルコリンエステラーゼの世界的な権威に面会していただいて、自分が行ってきた研究についていろいろとご批判とご示唆を頂戴したのちに、その日のうちにパリまで戻り、次の日にはドイツのミュンヘンにむけて出発しなければならなかったためです。なので、パリには夜間、早朝だけしか滞在することができず、ゆっくりと美術館を巡る時間を取ることはできませんでした。
夜遅くにパリに到着し、そのまま眠ってしまったのだと思いますが、長距離列車でトゥールーズまで移動しなければならなかったので、すぐに飛び起きなければなりませんでした。シャワーを使おうとしましたが、眠い頭で判断ができず、もたもたとしてしまって、なんだか知らないうちに時間ばかりたってしまっていました。多分、寝ぼけていたんだろうと思います。列車の駅まで歩いていこうとしたのですが、しばらく歩いてみても、いっこうに駅らしい建物は見えてこなかったので、早朝だったにもかかわらず、道路の脇に止まっていたタクシーを捕まえて、駅まで運んでもらいました。今回の旅では、スケジュールがとてもタイトだったので、寝ぼけていたり、距離を把握していなかったりして、あらゆるところでもたついてしまいましたが、それでも奇跡的にタイトなスケジュールを消化することができました。大変多くの幸運が重なっていたのだと思います。早朝にもかかわらず、路肩に止まっていたタクシーを拾うことができたことも、その一つだったのだろうと思います。
運よく高速列車に間にあったのですが、トゥールーズまでの数時間の間、列車の中で、鼻炎のためにずっと鼻をかんでいなければなりませんでした。もともと花粉症ではありましたが、フランスについてから、花粉症の兆候は出ていなかったので、多分、列車の中の埃などが原因だったのだろうと思います。持っていたハンカチが悲惨なことになっていました。トゥールーズについてからも、先生がいらっしゃった研究所までバスに乗って行かなければならなかったのですが、はっきりといって、なぜその研究所までたどり着くことができたのか、今でもとても不思議に思っています。かすかな記憶しかないのですが、来たこともない街で、ガイドブックを頼りに、心細い思いをしながら、これも奇跡的にたどり着くことができました。幸運が重なっていたのだろうと思います。