介護付き有料老人ホームG(1)アルバイト探し
平成22年9月末に、ヘルパー2級の修了証明書を受け取ると、介護関係の求人情報サイトでアルバイト先を探すことにしました。ヘルパー2級課程で、介護という仕事がどういうものかを、触り程度ではありましたが実際に学んできましたし、また、祖母が入所していた有料老人ホームで、介護職員と話をしたり、その仕事の内容を遠くから目にすることもあったりしたので、仕事の内容については大体見当がついていました。しかし当時から、介護の仕事はとても大変だということは言われていましたし、介護職員の離職が問題として盛んに取り上げられていたと思います。なので、実際のところ、どれほど介護という仕事が大変なのかということについては、まったく見当がつきませんでした。
実家に近いところで勤務が可能であるということを条件として、いくつか候補を選び、ウェブ上で面接の申し込みをしました。このときまで、大学院生や研究員として、いろいろな大学や研究機関を渡り歩いて来たのですが、これらの経歴を書かなければ、私の履歴書に書くことは何もなくなってしまうので、高齢者介護のアルバイトのために提出する履歴書とはいっても、スペースに余裕がある範囲で、これらの経歴をできるだけ余すことなく記載していました。授与された学位として博士(生物科学)と記入するわけですが、アルバイト採用の担当者と電話で話をした際に、これまで一生懸命に勉強して来たことについては一応評価していただきつつも、結局のところ、面接さえしてもらえないということが結構ありました。介護職員が足りないと当時から言われており、売り手市場とも言えるような状況であったにもかかわらず、アルバイトの面接さえしてもらえないことが結構ショックでしたし、面接さえしてくれなかった事業所に対して、少なからず憤りを覚えるとともに、“つぶしがきかない”とはこういうことなのかと、正直、とても悲しい気持ちになったことを記憶しています。
それでも、介護付き有料老人ホーム1社とデイサービス事業所1社が面接をしてくれることになりました。面接の場でどのような質問を受けたか、もうあまり覚えていないのですが、介護付き有料老人ホームでの面接のときに、施設長と一緒に私の面接をしてくださった介護主任の方が、「三代さんは、介護に対してどのような夢をもっていますか?」と質問してくださったことを覚えています。「高齢社会の到来に対して、私も何がしかの寄与ができればと思って応募しました」といったようなことを答えたのではないかと思うのですが、しかし正直なところ忘れてしまって、覚えていません。ただ、今後高齢化の波がさらに押し寄せてくるなかで、介護職員の不足がさらに深刻になることが予期されていたにもかかわらず、“介護に対する夢”を尋ねてきた介護主任のこの質問は、今から思えば、やや的外れのような気がしますが、それでも初めての介護職としてのアルバイト面接だったので、あまり深入りせずに、当たり障りのないことを答えてその場を終えることにしたと思います。
結局、面接してくれた2社からは、採用との返事をいただいたのですが、先に採用の返事をくれた介護付き有料老人ホームでアルバイトすることにしました。施設長とともに、私の面接に立ち会ってくださった介護主任の方とは、その後揉めることになりますが、それについては後述したいと思います。