介護付き有料老人ホームG(2)初めてのフロア勤務
あくまでも、これまで行ってきた研究をまとめたり、高齢者介護を進化遺伝学的に考察したりということが私にとっての主要な任務だと考えていました。このような研究活動に対して、高齢者介護の現実を実際に経験するとともに、経済的なサポートを得るためにアルバイトをはじめたわけですが、働きはじめた最初の3、4カ月の間は、介護の仕事に早く慣れるためということもあったのだろうと思いますが、常勤職員のようなシフトで働くことになりました。はじめのうちは、身体介護のような、利用者と直接かかわる仕事はまかされることがなく、食器洗いや床のモップ掛けのような仕事ばかりだったと記憶していますが、いずれにしても、ずっと立ちっぱなしの仕事が多かったと思うので、まず足がとても疲れましたし、腰もかなりしんどかったと思います。毎日クタクタになって家に帰り、寝たらもうすぐに次の出勤の時間になっていました。何かを考えるだけのゆとりはなかったと思います。
フロアに配属されてからの最初の1ヶ月の間は、フロア・リーダーについて、いろいろと指導を受け、また実際に利用者の介助を行うなかで、自分が行ったことや気付いたことなどを報告書として毎日提出し、注意点や課題などを指摘してもらっていました。その時に提出した報告書の写しが、いまだに残されているのですが、例えば、平成22年11月6日(土)の報告書では、私は以下のように記述していました。夏休みの宿題で出された小学生の絵日記のようなことしか書くことができませんでしたが、勤務後のクタクタになった状態で、やっとの思いで書いたのだと思います(個人情報の保護および守秘義務の観点から、一部修正を加えてあります)。
H22年11月6日(土)
午前 担当職員:I様(著者注:先輩職員のフロア・リーダー)
やった事、担当した入居者、気づいたこと等
トイレ掃除、昼食準備、服薬介助、モップかけをやりました。
教えた内容、気づいたこと、課題等
H様(著者注:入居されている利用者)に、ノックと同時にドアを開けてしまい、苦言を頂だいいたしました。気を付けます。
午後 担当職員:I様(著者注:先輩職員のフロア・リーダー)
やった事、担当した入居者、気づいたこと等
ゴミ集め、トイレ介助、排泄介助、食事介助、就寝介助を勉強しました。
教えた内容、気づいたこと、課題等
N様(著者注:入居されている利用者)に、就寝時ありがとうと言われました。こちらこそ、どうもありがとうございましたという気持ちです。
教育担当リーダーより(次回の課題、注意点、要点 等)
入居者様との信頼関係が出来て来た様に感じます。
排泄は積極的に向き合って経験を積んで下さい。
利用者の方から、小言や苦言をいただくこともあったと思いますが、それでも感謝されることもあったと思います。就寝介助をしていた時に、利用者の方から「ありがとう」と言われたことについて書き残していました。仕事自体は大変だったと思いますが、利用者の方から「ありがとう」と言っていただけて、やはりとても嬉しかったのだろうと思います。