介護付き有料老人ホーム(3)夜勤パート
収入のことを考えて、多少手当てが付いた夜勤専従での勤務を、アルバイトの面接をした最初のときから希望していましたが、やはり利用者の日常の状態を知らなければ介護はできないということで、最初の何か月間は、常勤職員と同じように、日勤や早番などのシフトがメインで勤務していました。だんだんと介護の仕事に慣れてきたということで、夜勤でのシフトを増やしてもらいながら、平成23年の5月には完全に夜勤パートとして勤務していました。
私を採用してくれた介護付き有料老人ホームは、東京や埼玉などを中心に、多くの介護付き有料老人ホームや認知症対応型グループホームなどを運営していた、業界でも何番目かというくらいの比較的大きな企業が運営していた介護事業所でした。私が勤務していた施設は、1階にはデイサービスが入っており、2階には認知症対応型グループホームやショートステイ、3階から5階までは有料老人ホームが入っていたと記憶しています。私は3階の有料老人ホームで勤務していました。1フロアに利用者が30人近く入所していたと記憶していますが、その30人の利用者に対して、夜勤職員は2人体制で対応していました。前日の夕方5時頃から、次の日の午前10時頃までの勤務だったと思います。大まかに夜勤の手順を記してみますと、まず夕食の準備、配膳や食事の介助からはじまり、服薬、更衣などの就寝時の介助、夜間には何回かの巡回、何回かのオムツ交換をはじめとする排泄介助、早朝からは起床介助、更衣介助、そして朝食の準備、配膳と食事の介助を経て、最後に夜間帯で起こったことなどを記録して終わります。
夜勤という仕事は、利用者になにか大きなことが起こらなければ、むしろ楽な仕事なのだろうと思います。といいますのは、利用者の方々は本来であればぐっすりと眠っているはずですから、なにも起こらなければ、夜勤者はほとんど何もすることはなく、テレビでも見ていればいいということになるのだろうと思います。確かに、なにも起こらない平和な勤務も何日かあったかもしれませんが、しかし実際には、30人近くいるフロアでは、いろいろなことが起こりました。私がこの有料老人ホームで夜勤をしていたときには、救急車を要請するといったような、大きな出来事はありませんでしたが、それでも私の夜勤中に、利用者が床で倒れているといったようなことは、実際に何度かあったと記憶しています。
夜勤専従となった5月の下旬に、夜勤専従のパート同士でのシフトが組まれたことがありました。それまでは、夜勤シフトとなった常勤職員とペアになって夜勤にはいっていました。なので、日中の利用者の状態については、ペアとなった常勤職員からいろいろと聞くことができたので、それまでは不安を感じることもなく仕事ができていたと思います。しかしこのときは、夜勤専従のパート同士だったので、日中の利用者の状況についてはお互いに把握していないでしょうし、私も夜勤専従となってはじめのころだったこともあり、お互いに心許なかったので、2人とも、それぞれ常勤職員との組み合わせがいいのではないかと思い、当時お世話になっていた介護副主任に相談したところ、シフトの組換えを一度は許可されたのでした。しかし、採用面接の時に、私に“介護の夢”を尋ねてくださった介護主任は、すでに日程が決定しているからということで、そのシフトの組換えを許してくれませんでした。日々の勤務の中で、職員同士のシフトの変更はよく目にしていることでしたし、介護副主任も許可してくれていたので、私の場合だけ、なぜ許可されなかったのか、正直納得ができませんでした。