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介護付き有料老人ホームG(5)社長メールの存在

介護付き有料老人ホームG(5)社長メールの存在

 

 お世話になっていた介護副主任から、一度はシフトの組換えが許可されており、また、職員同士のシフトの交換は、日々の勤務の中でよく目にしていたことだったので、あの介護主任が、なぜ私のシフトの変更だけは許可してくれなかったのか、まったく理解できませんでした。その介護主任に対する激しい憤りを感じるとともに、モヤモヤとした気持ちを抱きながら、どうしたものかと考えていました。

 

 この有料老人ホームを運営していた企業には、介護事業を運営していた他の企業とは少し異なる、ちょっと変わった特徴がありました。それは、江戸時代の八代将軍徳川吉宗が設置した目安箱のような、運営していた施設で働く介護職員や、恐らく利用者やその家族を含むあらゆる人からの意見や要望を、社長自らが直接読んで、それに対して直接返事をしてくれる社長ダイレクトメールが存在していたことです。私も、この介護主任とのイザコザが、まあ到底納得できるものではなかったわけですし、高齢者介護における介護職員の夜勤業務について、いろいろと疑問に思うこともあったので、まあ最終的に辞めることを覚悟したうえで、自分のこの施設に対する未練や利用者との愛着を断つ意味でも、社長ダイレクトメールで、この問題について直接社長に訴えることにしたのでした。まあ、そんなことをして、この職場でいつも通りに勤務できるとは思っていなかったですし、当然、いろいろな締め付けが予想されたので、もう辞める覚悟を決めて、社長に直接訴えることにしました。江戸時代でも、殿様への直訴は磔のような極刑でしたから、社長へのダイレクトメールは、日本ではそれぐらいの覚悟がいることなのだろうと思います。

 

 社長に送ったその時のメールが、まだ大切に保存されていました。それによると、私は2011520日の午前1時頃に、社長にメールを送っていました。重要なところを以下に抜粋しておきます。

 

私は、今月夜勤を6回予定されております。そのうちの1回分がもう一人の夜勤パートの方との組み合わせでした(528日から29日にかけて)。私自身、毎日利用者様と接するのではなく、またもう一人の方も常勤ではない(月4回)ので、利用者様方のADLや日々の変化等を考慮したうえでの緊急時における判断や行動に少々不安を感じました。そこで少なくとも一人は常勤の職員が良いと考え、他の職員の方との日程の交換をお願いしたところ、幸い日程を交換をしていただけるとのことでした。しかし、介護主任の方から、この交換はダメということでした。その理由は、すでにこの日程は決定されているからとのことでした(これは介護副主任の方からの連絡でわかったことです)。そこで質問させていただきたいのは、

 

(1) 毎日を利用者様と接することのない夜勤パート同士でペアーを組んでの夜勤勤務について、緊急時における対応に不安を感じてしまう私は間違っているでしょうか?

 

(2) 他の職員の方との日程の調整が可能であるにもかかわらず、日程がすでに決定していることを理由に却下されることは、納得のできることなのでしょうか?勤務日程が決定してからの日程変更は、職員同士の間で日々目にしていることなので、私の変更だけが却下された理由が正直わかりません。

 

私は、このようなメールをしたことにより、今後職場での立場があるいは不利となってしまうことを承知のうえで、メールさせていただきました。もし私の質問が、理にかなったものではなかったのであれば、お知らせください。よろしくお願いいたします。

 

その日のうちに、社長から返事のメールを受け取りました。その中で、私が相談したことについて人事に確認してくださるとともに、夜勤での緊急時の対応について検討してくださるという内容のことが書かれていました。また、私が直接社長にメールを送ったことについて、感謝の言葉を述べてくださるとともに、職場での私の立場が不利にならないように対応すると書いてくださっていました。