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精神保健福祉士(1)精神保健福祉士一般養成課程

精神保健福祉士(1)精神保健福祉士一般養成課程

 

再び学生となって、福祉系の大学などで勉強することは、博士課程で受給していた奨学金の返済も当時まだ残されていましたし、グループホームやホームヘルパーなどで介護職としてバイトしていたこともあり、金銭的にも時間的にも私には不可能でした。何よりも、すでに50近い歳になっていて、もう学位とかそんなことはどうでもよかったので、本科の課程に入学するのではなく、認知症高齢者の福祉や介護に関わる国家資格を取得するという形で、実習などの実践的な現場の中で考察する機会を得ながら、それと同時にいろいろなことを学ぶことができればと考えていました。ということで、福祉に関する国家資格としては、介護福祉士や社会福祉士、あるいは精神保健福祉士という選択肢が思い浮かんだのですが、認知症高齢者が幸福に暮らしていける社会というのはどのような社会なのかということについて、より深く考えてみたかったので、地域における認知症高齢者の生活に、より深く関われる可能性があった精神保健福祉士の養成課程で学ぶことにしました。介護福祉士は、介護保険制度、特に身体介護をはじめとする介護サービスという枠組みの中での福祉からは離れることができないと思いましたし、これまでの介護職としての経験から、できればその介護保険制度の枠組みから離れて、どうやって認知症高齢者の地域での生活を豊かなものにすることができるのかということを考えたかったので、この時は考えないことにしました。対象範囲が広く、より一般的な福祉専門職である社会福祉士と比べて、精神保健福祉士は、対象範囲がより特異的(specific)な、精神障害者の保健福祉ということで、認知症という器質性精神障害についても、いろいろなことを学ぶ機会があるのではないかと考えたからでした。

 

 私が受講した福祉系の大学における精神保健福祉士一般養成課程の受講期間は、2012(平成24)年4月から2013(平成25)年10月までの17か月でしたが、その間に、通信講座としてレポートを30課題分提出しなければならず、また、1年間の内に何回か、大学のキャンパスまでスクーリングに出かけていって、面接授業を受けなければなりませんでした。さらに、その大学の指定実習施設である精神科医療機関と地域の障害者福祉サービス事業所等の2か所において実施される、精神保健福祉援助実習を受けなければなりませんでした。私のような、これまで福祉についてほとんど学んできたことがない者の場合、実習期間は約5週間におよび、精神科医療機関では90時間以上、地域の障害福祉サービス事業所等では120時間以上の実習となりました。このように、実習がまとまった期間で行われるため、パートの介護職員の分際で、何週間もまとまった休暇を取るわけにもいかなかったことも、当時勤務していたグループホームを退職した理由の1つだったわけです。