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精神保健福祉士(2)精神保健福祉士一般養成課程

精神保健福祉士(2)精神保健福祉士一般養成課程

 

2012(平成24)年7月に提出した、第1学期の課題レポートの中で、認知症高齢者の福祉・介護に対する関心・興味から、なぜ私が精神保健福祉士の養成課程を受講しようと考えるようになったのかについて、一部説明しているところがあったので、長文ではありますが、当時提出したレポートをまったくそのままの形で、以下に掲げておきたいと思います。この精神保健福祉士養成課程では多くのことを学びましたが、この養成課程を受講して最終的にどのような考えを持つに至ったのかを示すためにも、初心を提示しておくことは重要なことではないかと思います。「精神保健福祉に関する制度とサービス①」という科目の、「精神障害者にかかわる社会保障制度をひとつ取り上げ、あなたの考えや意見を述べなさい」という課題に対して提出したレポートでした。

 

我が国における65歳以上の高齢者人口の総人口に占める割合(高齢化率)は、1960年には5.7%であったが、年々上昇を続け、2000年には17.3%に達している。高齢化率の急激な上昇に伴い、介護を必要とする高齢者数は増加を続け、また平均寿命の伸長による介護期間の長期化、高齢者を取り巻く家族構造の変化、介護者の高齢化などにより、介護のニーズはますます増大し、社会的な支援策が求められた。従来の高齢者介護制度のもとでは、医療と福祉は異なる制度的基盤を有していたため、サービスごとに異なる煩雑な手続きを必要とし、また利用者の負担も、医療と福祉の間で不均衡が生じていたため、介護を目的とした一般病院への社会的入院が問題となった。さらに、行政の措置制度による画一的なサービスや、利用者の応能負担などのサービス利用に関する不公平感が問題となった。これらの諸問題に対応し、高齢者の介護を社会全体で支えあう新たな高齢者介護システムを構築するために、1997年に介護保険法が制定され、20004月から施行された。

 

65歳以上の精神障害者が、要介護もしくは要支援となった場合には、介護保険制度に基づくサービスを利用することになる。また、認知症高齢者数の増加は、深刻な問題であり、2045年には378万人になると推定されている。精神科病院の認知症病棟などでは、徘徊や不穏、興奮などの周辺症状が激しく、在宅での生活や介護保険制度上の関連施設などへの入所が困難な高齢者が入院し、治療やリハビリテーションを行っている。退院後は、安定した生活を在宅で行うことが期待されるが、認知症高齢者の家族状況や住宅状況が整わない、あるいは介護老人福祉施設などの入所に多大な待ち時間を必要とするなどの理由により、退院することができず、新たな社会的入院の拡大が問題となっている。認知症高齢者の社会的入院を解消するためにも、精神保健福祉の観点から、地域の介護保険制度上の社会資源と連携・協働したソーシャルワークの実践が求められている。

 

私は、認知症高齢者グループホームや介護付き有料老人ホームにおいて、介護職員として勤務してきたが、利用者の方々の「つまらない」、「うちにかえりたい」などの発言にたびたび接してきた。恐らく本心であり、もし介護職員が尽力し、また介護保険給付として相当な金額を費やしているにもかかわらず、結局このような発言しか得られないとするならば、介護保険制度の問題と言わざるを得ないと思う。高齢者であろうが、認知症であろうが、生活者として、利用者が持つ潜在的な能力を肯定的に評価し、利用者本人の生きる希望や願いに真摯に向き合い、現在および未来を重視し、個人および地域のエンパワメント、ストレングスを引き出していくソーシャルワーカー的な視点が、介護というケアワークの領域にも必要なのではないかと思う。

 

<参考文献>

厚生労働省 『介護保険とは』 http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/gaiyo/hoken.html(最終アクセス2012621日)。

 

古屋龍太編 『精神保健福祉士シリーズ7 精神保健福祉に関する制度とサービス』 弘文堂、2012

 

日本精神保健福祉士養成校協会編 『新・精神保健福祉士養成講座4 精神保健福祉の理論と相談援助の展開I』 中央法規出版、2012

 

大谷藤郎編 『ホームヘルパー講座2級課程テキスト3 介護保険と社会福祉の制度 改訂4版』 日本医療企画、2009

 

一応、参考文献だけではなく、自分自身の経験を踏まえた上でのテーマ考察がなされていたことについては、それなりに評価していただけたようですが、精神保健福祉士として担うべき役割や、利用者の希望を叶えるためにできることを具体的に提示していなかったということで、評価は75/100でした。福祉について学び始めた最初の頃だったので、まあ、こんなものなのだろうと思います。