精神保健福祉士(5)精神保健福祉士国家試験
1年7か月の一般養成課程をつつがなく修了すると、精神保健福祉士国家試験を受験する資格が、晴れて与えられることになります。結局、この1年7か月間の苦しみに満ちた養成課程は、精神保健福祉士国家試験で合格し、精神保健福祉士の資格を取得することによって、はじめて意味を持つことになります。もちろん、精神保健福祉援助実習などで、とても多くの学びがあり、それだけでもこの養成課程を受講してよかったと私は考えていましたが、そうは言っても、やはりせっかく受験資格が得られたのですから、是非とも合格を果たし、これまで学んできたことの証としたいと思っていました。
私が受験した精神保健福祉士国家試験は、2014(平成26)年1月25日と翌26日の2日間にわたって行われました。1月25日の午後に行われた試験では、精神疾患とその治療、精神保健の課題と支援、精神保健福祉相談援助の基盤、精神保健福祉の理論と相談援助の展開、精神保健福祉に関する制度とサービス、精神障害者の生活支援システムの、計6つの専門科目についての考査が行われ、翌26日の午前中に行われた試験では、人体の構造と機能及び疾病、心理学理論と心理的支援、社会理論と社会システム、現代社会と福祉、地域福祉の理論と方法、福祉行財政と福祉計画、社会保障、障害者に対する支援と障害者自立支援制度、低所得者に対する支援と生活保護制度、保健医療サービス、権利擁護と成年後見制度の、計11の社会福祉士との共通科目についての考査が行われました。出題形式は五肢択一を基本とした問題で、トータルすると163問出題されました。6割程度が合格基準とされ、厄介なことに、規定された16の試験科目群すべてにおいて得点しなければなりませんでした。つまり、好きな領域ばかり勉強して、苦手な領域は捨てるということが許されず、とても広い範囲を満遍なく勉強しなければならないということになります。私もこの時まで、高校受験や大学受験をはじめ、定期的に何かしらの試験を受けてきたので、試験にパスするための戦略のようなものについては、それなりに心得てきたつもりでしたが、苦手科目を捨てることができないことは、結構大きなプレッシャーになりました。もちろん、これまで自然科学の領域において勉強を続けてきたので、ほとんど見たことがないような専門用語に溢れた試験科目も多く、試験当日まで安心することはできませんでした。国家試験に向けた試験勉強を始めた頃は、紛らわしい選択肢が多い五肢択一ということもあり、ほとんど当てずっぽうに近かったと思います。なので、まあ落ちることはないだろうとは心の底では思っていましたが、そうかと言って、絶対合格できると言いきるだけの自信も最後まで持つことはできませんでした。