認知症対応型グループホームD(1)有料老人ホーム時代の知人からの電話
以前勤めていた認知症対応型グループホームでの体験から、認知症高齢者が幸せに暮らしていける社会とはどのような社会なのかということに興味を持ち、精神保健福祉士という国家資格を取得しようと考えたことについては、これまでにお話ししてきた通りなのですが、認知症高齢者のこころについて、もっと言ってしまえば、人間のこころについて、私自身もっと勉強しなければならないと思ったこともあり、2012(平成24)年4月から、放送大学において心理学に関連する教科について受講しはじめていました。大学生という立場ではなく、科目履修生という、いわばモグリの聴講生のような形で受講していました(もちろん授業料は払っています)。これまでの私は、ショウジョウバエをはじめとした昆虫については一生懸命に勉強してきましたが、介護職として高齢利用者と関わり、また精神保健福祉士という資格を目指すようになったこともあり、対人援助において利用者のこころを理解できることはソーシャルワーカーとして必須の要件だろうと思いましたし、私自身、筑波大学大学院時代の指導教官からも指摘されていたように、常識がないことを自覚してもいたので、この機会に心理学について一通り勉強しておくことにしたのでした。
2014(平成26)年3月に、精神保健福祉士国家試験に合格を果たしたのちに、認知症高齢者の介護の世界で、この資格を活かすことができるような職を探していたのですが、残念ながらそのような職をすぐに見つけることができなかったため、放送大学で心理学の勉強を続けながら、高齢者介護、特に認知症高齢者の介護について、いろいろと勉強をしていました。そんななか、以前社長メールを出してスーパーバイザーや施設長に顰蹙を買ってしまい、退職を余儀なくされてしまった有料老人ホームで勤務していた時にお世話になっていた方から、一本の電話を受け取ったのでした。その人は、私が退職した後に施設長となり、電話をいただいた当時、どうも職員が足りなかったようで、余裕があったら働かないかということでした。私よりも結構年下で、まだ若かっただろうと思いましたが、それにもかかわらず施設長ということで、結構大変な立場にいたようでした。恐らく、周りに助けてくれるような部下もいなかったのではないかと思います。だから、なんだか訳がわからない理由で、社長にメールを出してしまうような、私のような奴に電話をしてきたのではないかと思いました。まあ知らない人でもなかったですし、私でお役にたてるなら、という思いもありました。しかし、以前勤務していた有料老人ホームを辞めたときの後味の悪さがものすごくあったので、あの会社でもう二度と働きたくはないなあと正直なところ思っていました。なので、この介護事業所とはあまり関わり合いたくないというのが正直なところだったのですが、まあこの施設長も困っているようでしたので、週1日ぐらいだったら我慢できるかなあと思って、勤務することにしました。