デイサービスC(1)お泊まりデイサービス
週1日程度で、グループホームで働いていたなか、高齢者福祉に関する考察を深めようと、さらにいろいろな介護の形態について実際に体験したいと思い、小規模デイサービス事業所で夜勤のアルバイトをすることにしました。小規模デイサービスとは、公式的には地域密着型通所介護と呼ばれる介護保険サービスです。日中、利用定員が18人以下の老人デイサービスセンターに送迎車などで通いながら、食事や入浴、排泄などの介護やその他の日常生活上の支援、機能訓練などを、日帰りで受けることができます。このサービスによって、利用者の社会生活が維持されるだけでなく、在宅で利用者の介護を実際に担っている家族が抱える負担感を減らすことも期待されています。
このように、デイサービスとは日中に行われる介護保険サービスなのですが、このような日中でのサービス以外に、デイサービスの利用者に対して、保険外での宿泊サービスが格安で提供されていることがあります。“お泊まりデイサービス”などと呼ばれることもあるようですが、このような保険外での宿泊サービスは、急な宿泊希望にも応じてくれるなど使い勝手がいい一方で、雑魚寝同然で宿泊するなどといったことが一時期問題視され、報道されたこともありました。なので、デイサービス事業所による宿泊サービスは、私が勤務するようになった頃には、それまでに報道されていたような様々な問題点も改善されていたでしょうし、例えば、利用者のプライバシーを守るために、利用者のベッドをパーテーションで仕切るといったような配慮もなされていたと思います。
私が夜勤専従のアルバイトとして勤務することになった小規模デイサービス事業所は、普通の民家がデイサービスセンターとなっていて、いわば、いつも住み慣れている自分の家で介護を受けている、もしくは親しい友人の家に遊びに来ているような、そんなアットホームな雰囲気を売りとしていました。デイサービスに来ていた利用者が、夜間もそのまま留まって夕食を食べたり、テレビを見たりして過ごします。ある程度夜が更けてくると休むことになるのですが、ここのデイサービスでは、介護ベッドもあったのですが、日中はソファーとして使用されているソファーベッドや折りたたみ式の簡易ベッドが寝台として主に使われていました。次の日の朝になったら、起床して洗顔、更衣などのモーニング・ケアを行ったのちに、朝食を召し上がっていただいて、そのまま日中のデイサービスへと移行します。もちろん、不定期に利用されている利用者もいたと思いますが、法律に抵触しない程度で長期的に宿泊されているような利用者もいたように思います。
宿泊されていた利用者は、私が夜勤に入っていた時でも、多くても数人程度でしたが、それぞれ認知症の傾向があったように思います。恐らく、在宅での介護が大変となってきたため、特別養護老人ホームや認知症対応型グループホームなどの介護施設を探されていたものの、例えば、空きが出るまで待たなければならないなどといったことで、この宿泊サービスを利用されていた方も多かったのではないかと思いました。