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介護福祉士(3)介護技術講習

介護福祉士(3)介護技術講習

 

 私が受験した2015(平成27)年度の第28回介護福祉士国家試験は、筆記試験と実技試験に分かれていました。筆記試験では、人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解、介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、こころとからだのしくみ、事例形式で出題される総合問題といった試験科目についてテストされました。筆記試験は、精神保健福祉士国家試験のように2日にわたることはなく、1日で済みましたが、それでも午前のテストと午後のテストに分かれていました。実技試験については、筆記試験合格者に対して、後日実技試験受験票が交付されることになっていました。つまり、筆記試験を通過できなければ、実技試験を受けることができないということになります。筆記試験では、問題の総得点の60%程度を合格基準とし、試験センターが定めたすべての科目群について得点があったものということでした。つまり、精神保健福祉士国家試験と同様に、苦手とする試験科目を捨てることはできず、一応一通りはすべての領域を勉強しなければなりませんでした。実技試験の合格基準については、これも課題の総得点の60%程度とされていました。

 

 私は、精神保健福祉士国家試験を受験した時に、一応一通り福祉の関連領域を勉強してきたので、筆記試験はあまり心配してはいなかったのですが、実技試験については、実際のところ、自分がこれまでに学び体験して修得してきた介護技術がどの程度のものであるのか、私自身不確定なものも感じていました。と言いますのは、ヘルパー2級課程で私が学んできた介護技術などは、ほとんどさわり程度だったと思いますし、実際に介護の現場で学んできた介護技術なども、はっきりといってしまえば、実際に指導してもらった職員によってマチマチであることも多く、いわばそれぞれの利用者に合わせて、それぞれの職員自身が工夫しながら自己流で編み出してきた技術だったと思うので、それを実技試験という場で客観的に評価されることに、一抹の不安を感じていました。恐らく、私のような不安を感じている受験者がたくさんいるためなのだろうと思うのですが、実技試験が免除される方法が介護福祉士国家試験にはありました。介護福祉士養成施設などが実施していた介護技術講習を受講し、修了するという方法がそれでした。もちろん、タダでは受講することはできません。養成校によって受講料にばらつきがあったように思いますが、私が受講した、住んでいる実家から比較的近くにあった資格予備校で行われていた講習会は、他の養成校のものよりも比較的低料金だったと記憶していますが、それでも数万円の受講料が必要だったと思います。自分の介護技術に自信があるならば、別に数万円払って講習会に参加する必要などなかったのですが、自分の介護技術に不安があり、また試験に落ちてしまったら、次の年以降は実務者研修という時間も料金もさらにかかってしまう研修を受講しなければならなくなるという不安もあったので、軟弱だとは思いましたが、数万円を払って、安心を買うことにしたのでした。まあ、数万円払って、どっちに転ぶかわからない実技試験が免除になるならば、数万円払う方を選択してしまうのは、人情なのではないかと思います。受験者の弱い立場に漬け込んだ巧妙な、と言いますか、あからさまなボッタクリ戦略とも言えるかもしれません。しかし、実際のところ、介護技術講習は、とても有意義だったと思います。少なからざる費用をかけただけのことはあったのではないかと思いました。