介護福祉士(5)介護技術講習
実際に講習の中で演習した、右片麻痺および失語症を伴うAさんに対する食事の介護において、介護福祉士としてどのようなコミュニケーションが図られ、介護技術が用いられるのかをインストラクターが実演してくれた時にメモしたことを、以下にまとめておきました。総合評価の時に、インストラクターを相手に実技の修了試験が行われたのですが、その準備のためのイメージトレーニング用に作成したものです。特に私は、他者とのコミュニケーションを苦手としているので、それぞれの場面で、利用者に対してどのような声かけが行われるのかをできるだけ忠実に再現するように努力しました。
右片麻痺、失語症のAさんへの食事の介護
(おしぼりをもちながら、正面から目線を合わせて)
・Aさん、こんにちは。
・ご気分はよろしいでしょうか? 「はい」
・トイレはお済みでしょうか? 「はい」
・椅子にはしっかりと座れていらっしゃいますか? 「はい」
・これからお食事なのですが、お持ちしてもよろしいですか?
・おしぼりをおもちしましたので、手を拭いてもよろしいでしょうか?
・左手を上げていただけますか?(包みふきで左手を拭く。面を変えてタオルを渡す)
・右手はお願いいたします。
・お手拭きをこちらに置いておきますね(机の左すみに置いておく)
・テーブルの位置はこれでよろしいですか?
・左手で右手をもって、肘をテーブルの上に載せていただけませんか?
・手のひらを下にしていただけますか?
・姿勢はよろしいでしょうか?(Aさんの背中は背もたれから少し離れている)
・お食事をお持ちしますね。(お膳の向きを考えながら持っていく)
・お膳の位置はよろしいでしょうか?
・本日のメニューですが、ご飯、お味噌汁、サンマの塩焼きとお茶です。(手のひらで示しながら)
・サンマの大きな骨は除いておきました。
・ご飯、お味噌汁は少し熱いかもしれないので、お気をつけください。
・お茶は飲み頃だと思います。
・私はAさんの左側からお邪魔してもよろしいでしょうか?(Aさんの患側である右側の口腔内に食べ物が溜まることがないか注意するために)
・まず口の中を潤すためにお茶をどうぞ。
・ではごゆっくりとお召し上がりください。
・ご飯は熱くないですか?
・Aさんは最近、リハビリでお箸をお使いになられていると伺いました。魚を食べやすくほぐしておきましたので、お箸を使われてみませんか?
・上手にお使いですね。
・お食事はお済みですか?
・口の中をさっぱりするために、お茶をどうぞ。
・全部召し上がりましたね。
・ご気分はよろしいでしょうか?
介護技術講習ではいろいろと勉強になったことが多く、得るものも多かったと思います。特に私が驚いたことは、実際に介護技術を実演してくださったインストラクターの方々が、立て膝をついたり、床にお尻をつけたりしないということでした。私はこれまで、介護施設での勤務において、椅子に腰掛けている利用者と目線を合わせる時に、結構平気で立て膝をついたり、体育座りで床にお尻をついたりしてしまうこともあったのですが、インストラクターからは、「介護福祉士は立て膝をつかない」といわれました。腰が痛かったりすると、結構しんどいのですが、でも衣類を清潔にしておくことは、ベッドメイキングの時に寝具に触れてしまったり、利用者の身体に直接触れてしまったりすることもある介護福祉士としては、当然のことなのだろうと思います。改めて、介護の専門職としてのプロ意識を見たような気がしました。
無事に4日間の講習を終えて、晴れて実技試験が免除になることができました。数万円払ってしまっただけのことはある、とても実りのある充実した4日間だったと思います。この時にグループで一緒だった受講生とはその後音信はありませんが、一緒に勉強することができてとても良かったと思います。