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ショートステイB(4)時給が良い仕事とは?

ショートステイB(4)時給が良い仕事とは?

 

 これまで、新たな介護パートの職を探そうという時には、私はいつも、インターネットの介護求人サイトで探してきました。もともと、自分が興味を持って取り組んできた、高齢者介護を進化遺伝学的な観点から考察し、より良い高齢者介護について、特に年老いた親を介護するということについて考えるために、実際に介護の現場で働きながら、経済的なサポートを得るとともに、過酷な介護の現実を、身を以て体験したいと考えていたためでもあります。なので、一つの職場にパーマネントで就職しようというつもりはもともとありませんでしたし、もし職場で邪魔になったり、自分が他の職員の足を引っ張ったりしてしまうようでしたら、喜んで職場を去る覚悟はできていました。しかし、パートだからといっていい加減にしてきたつもりも、もちろんありませんし、高齢者の方々と関わることは大好きでしたから、むしろ一生懸命になって働いてきたつもりです。なので、一生懸命に働いて、ある程度経済的な余裕が生まれたら、自分の研究や勉強に力を注ぐことになりました。逆に、お金がなくなってくれば、また職を探すというようなことを繰り返すことになりました。そんな、介護の職場をいくつか渡り歩いてきたなかで、介護という仕事について、いくつか見えてきたことがあるので、ここで少し考えてみたいと思います。特に、介護の仕事と時給の関係について、自分の経験に基づいて、ある仮説を立てることができるように思います。

 

先ほども述べたように、私はインターネットで介護職のパートを探してきましたが、時給がずば抜けていいにもかかわらず、いつものように、たびたび求人が出されている仕事というのは、かなり過酷な仕事であるという仮説が、まず立てられると思います。時給がいいので、私のように、時給に釣られて応募しても、あまりにも過酷であるがゆえに、すぐに退職する人が多く、そのためにたびたび求人広告が出されるのではないかと思います。つまり、たびたび求人広告が出されるような仕事というのは、職員がすぐに集まっても、すぐに辞めてしまうことになるので、回転率が早いということなのだろうと思います。時給がいいにもかかわらず、たびたび求人が出されるような仕事というのは、まあ、ろくな仕事ではないのではないか、というのが私の率直な意見です。自分の体やメンタルのことを考えるならば、避けておいたほうが無難かもしれません。例えば、ここで紹介したショートステイの場合は、確かに夜勤1回分の給与としては、当時業界でもトップレベルだったと思いますが、その分仕事は過酷でした。恐らく、この事業所での1回の夜勤に支払われている給与の中には、どうやら早番の仕事の分も含まれていたのではないかと思うのです。つまり、給与が良くても、結局は2人分の仕事をしていただけのことだったわけです。

 

 近年、超高齢社会の進展に伴う介護職員の不足が叫ばれて久しいですが、その対策として、介護職員に対する給与や手当を厚くするといった対策が考えられているようです。政府の偉い人たちが、金さえ上げれば職員は集まると考えているならば、大きな間違いだろうと思います。給与が2倍になっても、仕事がその分2倍になってしまったのでは、あまり意味がありません。もう少し、高齢者介護の現場に目を向けてもらいたいと思いました。給与の問題も確かに大事だとは思いますが、改善できるところ、職員が改善して欲しいと望んでいるところはたくさんあると思います。あえてここでは言及を控えますが、ぜひお偉いさん方には、この国の将来のために、いろいろと考えていただきたいと思います。あまり時間はありません。


 

 

 

 

 

このショートステイでは、3か月という短期間だけでしたが、正直とても過酷だったと思います。その間、なんの事故も起こすことなく切り抜けることができて、よくやったなあとさえ思っています。しかしこれは、ラッキー以外の何物でもないと思いました。今後、介護の仕事に就きたいと考えている人がいるならば、単純に時給がいいとか手当が充実しているといったことで仕事を選んでしまうと、後悔することもあるかもしれません。ただ金銭的なところばかりではなく、いろいろな側面をみて判断したほうがいいのではないかと思いました。  三代