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認知症対応型グループホームA(1)

認知症対応型グループホームA(1)

 

 前回のショートステイでの仕事を3か月で退職してしまったことで、自分自身の一つの介護事業所における就業期間の最短記録を大幅に更新してしまったこともあり、次の仕事については、例えば時給がいいといったような、短絡的なことで決めてしまってはいけないと思いました。ここまで、いろいろな介護サービスを提供していた事業所で仕事をしてきましたが、その中でも、私は認知症高齢者に対応したグループホームでの仕事に親しみを感じてきたように思います。やはり、認知症高齢者が幸福に生きていくことができる世の中への憧れと言いますか、それがどのような世界なのか、明確なビジョンがあるわけでもなく、はっきりとわからないながらも、多分よい世界なのではないかという期待とともに、それについて考えていくことが、よりよい社会へのヒントを与えてくれるような気がしていたからだろうと思います。なので、新たな介護の仕事を探そうとしていたこの時、認知症対応型グループホームでの仕事を探すことにしました。インターネットの介護求人サイトに出ていた認知症対応型グループホームに応募したところ、まだ募集は終了しておらず、面接していただけることになりました。自分が住んでいた実家からも比較的近くにありましたが、電車の便があまり良くなかったため、自転車で通うと、40分ぐらいかかるところにそのグループホームはありました。

 

この頃になると、これまで勤務してきた介護事業所の数も複数になりますし、これまでの経験から、面接時にはこれまで務めてきた事業所を辞めた理由などを聞かれてくることがたびたびあったため、これまで務めてきた事業所を辞めた理由などをA4用紙12枚程度にまとめたものを、あらかじめ提出しておくことにしました。面接をしていただいた当時の施設長から、前回のショートステイが3か月しかもたなかった理由を尋ねられたと記憶していますが、正直に、夜勤明けに一人でフロアをケアしながら朝食の食事介助をしなければならなくて過酷だったと伝えたと思います。職員の数が足りないのはどの事業所も同じかもしれないので、このグループホームでも状況は同じかもしれず、もしそうだとしたら、その程度のことで辞めてしまうような私などは採用してもらえないかもしれないという心配はありました。面接していただいた当時の施設長に、ショートステイを辞めた理由を理解していただけたかどうかはわかりませんでしたが、事実そうだったので、それ以外に言いようがありませんでした。幸いなことに、このグループホームで介護職員として採用していただけることになりましたが、ここでの勤務で、認知症対応型グループホームは3事業所目ということになります。