認知症対応型グループホームA(6)辞めた理由
正直、なんで辞めることになったのか、はっきりとしたことは覚えていません。介護支援専門員(ケアマネジャー)の受験資格がこのグループホームで勤務している間に得られることになっていたのですが、次年度である2018(平成30)年の第21回の試験以降、受験資格が厳格化することになっており、私の場合、この年の内に合格することができなければ、しばらく受験資格を失うことになってしまうため、ぜひこの年のうちに合格しておきたかったことから、ケアマネ試験の受験勉強に専心したかったということも一つの要因としてあったと思います。グループホームで勤務していく中で、認知症高齢者が幸せに暮らしていけるように、認知症高齢者のケアプランについて、実際にケアマネとしてプランの作成に関わることができればという思いはあったと思います。それだったら、このグループホームを別に退職する必要などなかったのではないかと思われるかもしれないのですが、しかしこの頃に、施設長が変わって、私よりもかなり若い施設長が赴任してきたことから、なんだか周りの職員から労られるような雰囲気が気になり出したということもあったと思います。何度も言いますが、あくまでも私は、高齢者介護、特に年老いた親を介護するという人間の自然本性にも関わるような人間行動を、進化遺伝学の観点から考察していきたいと考えて、実際に介護の現場で勤務してきたわけなので、これまでに勤務してきた施設や事業所などでも、別にその施設の中で出世をしていきたいだとか、正社員として働いていきたいと思ったことは一度もありませんでした。もちろん、だからと言って、手を抜いて仕事をしてきたつもりもありませんし、周りに迷惑をかけないように一生懸命になって仕事をしてきたつもりではあります。こんなことを考えていたとしても、まあ、それぞれご家庭をお持ちであったベテランの主婦職員の方々にはわかっていただけるとは正直思いませんでしたので、なんだかお気の毒と言ったような雰囲気が面倒臭くなったということも、一因としてあったように思います。あと、私が勤務するようになってから、お産のためにしばらく産休で職場に出られない、とても若い女性がいました。どうも、その女性職員が産休を終えて仕事に復帰するということもあったのではないかと思います。要は、使えない男性職員であった私が、邪魔になってしまったということもあったのかもしれません。退職する時に、フロアのリーダーであるかなりベテランの女性職員から、「辞めてくれてありがとう」だったか、「辞めさせてしまって、ごめんなさい」だったか、そのようなことを言われた記憶があります。次期の戦力として私は不要になってしまったということだったのではないかと思います。まあ、ベテランの主婦ばかりの職場だったので、私のような常識のない青二才では、ここの職場は正直居心地が悪かったです。
結局、2017(平成29)年2月から11月までの9か月間、このグループホームでお世話になったことになります。私がこれまでに勤務してきた3つのグループホームの中では、多くの面で中庸だったので、まあ、良くも悪くもなく、あまり印象には残っていないように思います。しかし、高齢者介護において、特別なことが何もないということは、必ずしも悪いことではないのではないかと思います。ごくありふれた日常というものを、多くの認知症の高齢利用者の方々は望まれているかもしれないと、私は日頃から感じてきていたので、まあ、ある意味では理想的だったのではないかと思います。