認知症対応型グループホームA(7)私が理想とするグループホームとは?
このように、3か所のグループホームをはじめとして、これまでいくつかの介護事業所で勤務してきましたが、その事業所を運営していた企業や団体の高齢者介護に対する理念についても、それぞれの組織で大きく異なっていたように思いましたし、また、実際の現場で利用者と直接関わっているフロアのリーダーや職員たちの、どのような施設にしていきたいかといったような思いや考え方に関しても、それぞれの事業所で異なっていたように思います。これまで、いくつかの介護事業所を渡り歩いてきた私ですが、その私がこんな職場で働いてみたい、あるいは、もしフロアのリーダーだったとしたら、このような施設を作ってみたいというような、私が考える理想的な介護施設、特にグループホームについて、ちょっと述べてみたいと思います。もちろん空想なので、多少突飛なところもあるかもしれないのですが、そこは介護の現場とは直接関係のない第三者という気楽な立場なので、ご容赦願いたいと思います。
これまで勤務してきた事業所のなかで気になったことはいくつかあるとは思いますが、何と言っても、フロアの職員たち、特にフロアのリーダーが気に入らない職員(私もその中に含まれていました)を排除しようとする露骨な雰囲気が、結構気になっていました。あの職員は使えない、あの職員は気に入らない、といったことで、せっかく新しく補充された職員が、結構早い段階で辞めていってしまうことが、たびたびあったと思います。まあ、私も早い段階で辞めることが多かったとは思いますが、私の場合は、あくまでも、高齢者介護を進化遺伝学的に考察していきたいがために介護の現場に立っていたのであり、正直なところ、邪魔になれば、いつでも辞めるつもりではいたので、あまり参考にならないかもしれないのですが、でも若手の男性職員や脱サラしてきた結構年配のベテランの男性職員が、せっかく入ってきたのに、入りたての早い段階で辞めていったことが多かったと思います。結果として、職員数の不足が解消されることがなかったので、結局は自分たちの首を絞めていることになっていたのだろうと思うのですが、どうだったでしょうか。職員の不足は、結局は、その施設や事業所を利用している高齢利用者に跳ね返ってしまうことになるのではないかと思います。たびたび申し上げているように、職員の数が足りなければ、職員として利用者とともに行うことができる活動の自由度も大きく制限されてしまうことになるからです。職員の数が足りなければ、利用者の方々に、せいぜいフロアでテレビでもみていてもらうほかに、我々ができることはなくなってしまいます。最近では、以前ほど介護施設での介護職員の不足が大きく取り上げられることもなくなっているように思うのですが、国や自治体も、職員の不足を補っていこうというつもりがなくなってしまったのかもしれません。つまり、高齢の利用者が施設でどのように過ごしているのかということは、ほとんど考慮されていないということになるのだろうと思います。私は実際に介護の現場に立ってきたので、例えばグループホームであれば、フロアに職員が一人しかいなければ、利用者の方々にじっとしていてくれと心の中で願うことぐらいしかできないでしょうし、二人しか職員がいなければ、一人は機動部隊としてトイレなどの介助に入ることもできるでしょうが、もう一方はフロアで待機して、転倒などの事故が起きないように目を光らせることぐらいしかできません。3人いれば、なんとか活動の自由度が生まれてくるかもしれませんが、それもフロアの状況によってはどうにかなってしまうこともあるのではないかと思います。なので、仕事ができるといった質を云々する前に、介護の現場では、数がとても大きな意味を持っていると、私自身は考えています。仕事ができる、できないは、その後の段階なのではないかと思うのですが、みなさんはどうお考えになるでしょうか。(続く)