介護支援専門員(2)受験資格
前にも述べましたが、私が3番目のグループホームに勤務しているときに、介護支援専門員(ケアマネジャー、略してケアマネ)の受験資格が与えられることになっていました。2015(平成27)年にケアマネの受験要件の見直しが行われ、ケアマネ試験の受験資格が厳格化されることになったのですが、私が受験資格を与えられたのは、その経過措置期間の最後の年だったことになります。
私は、介護職としてアルバイトを始める前に、ヘルパー2級課程と当時呼ばれていた介護職員養成講座を受講していました。その場合ですと、介護職員として介護施設などで5年以上勤務し、介護等の業務を900日以上行った実務経験を有するものということでケアマネ試験の受験資格が与えられることになっていました。それが次年度である2018(平成30)年度の第21回試験以降になると、この経過措置が終了して受験資格が厳格化されてしまい、私の場合であれば、国家資格である介護福祉士として5年以上介護施設等で勤務し、900日以上の介護等の実務経験が必要になるとのことでした。私は、介護福祉士の資格を取得したのは2016(平成28)年だったので、介護福祉士としてさらに5年間勤務するとなると、もっとも早くても2021(令和3)年にならないと受験資格が与えられないことになってしまいます。介護福祉士国家試験の時のように、なんだかわけがわからない、高額の、何十時間にも及ぶ研修を受けなければ受験資格が与えられないなどといったような、再三にわたる制度変更の可能性も不透明だったので、経過措置期間の最後であったこの年のうちに、ケアマネ試験に合格しておきたいと思うようになっていました。
これまでケアマネジャーという職種に注目してきたことは、正直なところ、私自身あまりなかったと思います。訪問介護ヘルパーの時は、確かにケアマネの存在は認識していたものの、事務所の奥にいる、コンピューターのモニターの陰に隠れた遠い存在だと思っていました。グループホームにもケアマネはいましたが、しかしこの場合は逆に、ケアマネ自身も介護職員としてフロアで勤務していることが多かったと思うので、私たちのような介護職員とほとんどかわりのない、特別な存在には見えませんでした。ケアプランを考えなければならないだけ忙しくなって大変なのではないかと思っていました。しかしながら、これまで一応数年間介護の現場に立って、高齢者の福祉、特に、認知症高齢者が幸福に生きていくことができる社会とはどのような社会なのかといったようなことを、例えば精神保健福祉士一般養成課程ですとか、放送大学で認定心理士の資格を取得していく過程で、いろいろと勉強していくなかで、私自身、高齢者、特に認知症高齢者の幸福な生活を目指して、実際に認知症高齢者のケアプランの作成にケアマネとして関わりたいと思うようになっていたこともあったと思います。実際のところ、現行の介護保険制度という枠組みの中で、ケアマネとしてどれだけのことができるのかということには、大いに疑問に思うことも多々あったとは思うものの、それだからこそ微力ながら、実際に高齢者、特に認知症高齢者の役に立てればいいなあと思ったのでした。