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小規模多機能型事業所H(3)ケアプランの作成

小規模多機能型事業所H(3)ケアプランの作成

 

 この小規模多機能型居宅介護事業所では、ほとんど風呂専門の介護職員として働いていたものの、それでもケアマネとしてケアプランを作成する機会がわずかばかりありました。このわずかばかりの機会において、私自身は、この介護事業所を利用されていた利用者のことを考えてケアプランを作成したつもりだったのですが、世の中というのはどうもそれではうまく回らないようにできているように思います。以下にお話していきたいと思いますが、読者の皆様は実際にどのようにお考えになるか、ぜひご意見を聞かせていただければと思います。

 

 この小規模多機能型居宅介護事業所に、半身が不自由で、主に車椅子で生活されていた利用者の方が宿泊サービスを利用されていました。私が勤務しはじめた最初の頃に、この方がリハビリのために滞在していた、小規模多機能型施設から比較的近くにあった介護老人保健施設において、ご本人やご家族(息子様と娘様)と面接して、いろいろとお話を伺い、特にご本人から、自宅に戻って、住み慣れた自宅で安心して暮らして行きたいという強い希望を伺っていました。ご家族はそれぞれ仕事があるため、仕事と母親の介護との両立を図りながら、母親の在宅生活を支援していきたいという希望を伺うことができたと思います。このような、ご本人やご家族の希望や意向を考え、小規模多機能型居宅介護事業所の宿泊サービスや通いサービスをうまく使いながら、特殊寝台や車椅子、段差解消スロープやポータブルトイレなどの福祉用具を有効に用いることができれば、半身に不自由があり車椅子が手放せないものの、在宅での生活は十分に可能だろうと考えて、そのような在宅での生活を実現できるような居宅サービス計画書を作成し、ご家族に説明したところ了解が得られていたと思います。ご本人には施設長か先輩ケアマネの方から説明がなされていたように思います。何よりも、ご本人の自宅に戻りたいという希望がとても強く、ご自身でも居室にいるときには、ベッドの柵に手をかけて車椅子から立ち上がったり座ったりといったリハビリに自ら励んでいるのを何度も見かけていましたし、ご家族が仕事からの帰りにお見舞いに立ち寄られたときには、ご家族が付き添って歩行の練習などもされていました。このように、自宅に戻るために、ご本人をはじめとして、ご家族もその母親の思いを支援しようとされていたように思ったのですが、結局、もとの介護老人保健施設に戻ることになってしまいました。  (続く)