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小規模多機能型事業所H(4)ケアプランの作成

小規模多機能型事業所H(4)ケアプランの作成

 

 もちろん、実習ではなく、実際にケアプランを作成するのははじめてでしたし、すべて自分自身だけで作成したなどと主張するつもりはさらさらなかったのですが、それでも、一応ケアマネとしてプランを作成し、作成の経緯や意図などをご家族に対して私が説明したわけですから、自宅ではなくもとの介護老人保健施設に戻ることになってしまった経緯などを私に説明してくれてもいいのではないかと思いました。しかし、施設長や先輩ケアマネの方からはなんの説明もなく、しかもご本人にはとてもよくしてもらったので、ご本人が介護老人保健施設に移るときには私もせめて挨拶ぐらいはしたかったのですが、私がお風呂介助の仕事をしている間にいつの間にかいなくなってしまっていて、誰も何も知らせてくれることはありませんでした。何よりも、ご本人が居室で、一人で寂しそうに俯いている後ろ姿を見かけたことがあり、自宅に戻ることができないことになってしまって、本人はとてもガッカリしていたと思います。その寂しそうな後ろ姿を忘れることはできません。結局、施設長にしろ、先輩ケアマネにしろ、この利用者がもとの介護老人保健施設に戻ることに私が強く反対すると考えて、私に対してなんの説明もしてくれなかったのだろうと思いますし、さらには、私がお風呂介助中に、何も知らせてくれることもなく介護老人保健施設に移動させてしまったのだろうと思いました。

 

 ここからは推測なのですが、ご家族からの了承も得られて、しかもご本人が自宅に戻る気満々でいるなかで、もし私に、この利用者がもとの介護老人保健施設に戻ることになったと施設長か先輩ケアマネの方から伝えてきたら、確かに、私は強く反対しただろうと思います。実際、福祉用具をうまく使い、通いや宿泊サービスを有効に使えば、自宅での生活は十分に可能だっただろうと思いますし、何よりも本人がやる気満々だったわけですから、ケアマネとしてはそれを実現できるようにサポートするのは義務だろうと思います。それがわかっていて、なぜ介護老人保健施設に戻らなければならなかったのかを考えた場合、まず介護者であるご家族の都合があったのかもしれませんが、何よりも、施設による利用者の囲い込みのような、おそらく法に触れることはないものの、実質的に介護施設による意図的な社会的入院に類するようなことがあったのかもしれないと考えざるを得ませんでした。とにかく、利用者が強い希望を持っているにも関わらず、それをケアマネとして叶えることができないならば、そんなケアマネに存在意義はあるはずはないでしょうし、そんなケアマネならいなくてもいいのではないかと思いました。結局この小規模多機能型居宅介護事業所も短期間で辞めることになりますが、辞める意思はこのときに固まったと思います。

 

 前にも述べましたが、小規模多機能型居宅介護事業所というのは、訪問サービスや通所サービスがあるため、近隣地域を車で巡回する必要があるのですが、私には自動車の運転免許がないため、地域を巡回するにしても、先輩のケアマネや看護師などに連れて行ってもらわなければならず、小規模多機能型事業所でのケアマネとしての活動に限界を感じていたことも、辞める理由の一つとなりました。