高齢者介護の進化遺伝学(6)投稿先の決定
この学会は、関連のある広い範囲からの投稿を歓迎するという旨の記述が投稿規定かどこかに記されていたと記憶しているのですが、実際に、編集部の方からは審査して頂けるというメールでの返事をいただいたこともあったので、実際に原稿を投稿させていただき、審査の結果を楽しみにしていました。しかし残念ながら、まあはっきりといってしまえば、全く相手にされなかったといって良かったのではないかと思います。雑誌の編集部の人とメールでやりとりしているときも、のらりくらりとはぐらかされているような感じで、まともに相手にされていないと思いました。査読者の主要な批判は、私が論文原稿の中で用いていた進化遺伝学の専門用語を、一般の読者が読んでもわかるようにしなさいということだったのだろうと思うのですが、それですと、専門用語の説明などで、どうしても論文としては冗長になってしまいますし、しかも字数制限があったので、これまでにもかなり文章をそぎ落として投稿していたこともあって、実質的に、私が主張したいことを主張することは、ほとんどできなくなってしまうことになります。もしそうだとするならば、最初から高齢者介護の進化遺伝学を謳っていた私の論文を受け付ける可能性は、ほとんどないことは目に見えていたことだったのではないかと思いました。そんなことだったら、何か月もかけずにすぐに却下してくれてもいいのに、と正直思ったわけです。何か月も期待に胸を膨らませて待っていたにもかかわらず、結局専門用語のことから話を先に進めることができず、主張の核心に踏み込めない苛立ちを感じました。ということで、残念ながら投稿先を変えることにして、以下のメールを学会の編集部に送ることになってしまいました。
高齢者の介護という行動形質を、ある意味で利他的な行動として進化遺伝学的に考察することの意義は、介護職として日々勤務するときにも役に立つのではないかと考えて原稿を提出させていただきました。査読者の方のご指摘の通りに修正した場合、恐らく私のオリジナリティーがなくなってしまうだけでなく、学術論文としての意味も失われてしまうものと考えました。日本には他にふさわしい雑誌も思い当たりませんので、海外の遺伝学や進化学の傾向がより強い雑誌に投稿しようと思います。残念ではありますが、論文は取り下げさせていただきたいと思います。審査等で、これまでお手数をおかけしてしまい、失礼いたしました。査読者の方々にも、よろしくお伝えいただければ幸いです。どうもありがとうございました。
(続く)