英語の勉強 8ー自分の英語の実力について 2

英語の勉強 8ー自分の英語の実力について 2

 

アメリカの大学院に進学するために、海外からの留学生として、アメリカの大学院でやっていけるだけの英語力があることを、ある程度証明するために、TOEFLという留学生を対象とした試験の他に、GREというアメリカの大学院に進学するための共通テストのような試験を受けて、そのスコアを学校側に提出する必要がありました。現在は当時と比べてフォーマットも変わってしまっているようですが、今から30年近く前に私が受検したGREテストは、一般的な知識が問われる General Test と、専門分野の知識が問われる Subject Test からなっていました。General Test には、英語と数学、そして論理や推論を試されるテストからなっており、Subject Test は、私は確か生物を選択して受けたと記憶しています。

 

このGREテストは、TOEFLのような、海外からの留学生に対して、その英語の能力を証明するための、いわばお客様用の試験といった性格のものではなく、留学生だけでなくアメリカ人の大学院進学希望者もみな受検しなければならない、日本人受験生にとっての共通テストのような、情け容赦のないガチのテストでした。ですから、このGREの中にも英語の試験がありましたが、アメリカ人の大学院進学希望者は皆受験しなければならないわけですから、おのずから試験の性格は異なるわけです。私を含む海外からの留学生にとっては英語ですが、彼らアメリカ人にとっては当然国語に当たるわけで、試験の内容は、英語というよりも国語に近いのだろうと思います。例えば、日本の大学に入学することを希望して日本にやってきた外国人が、共通テストで国語を受けている状況を考えてもらえればいいのではないかと思います。海外の受験生にとっては、古文や漢文といった、かなり細かな日本語の知識を問われることになるのだろうと思うのですが、私がGREを受けたのは、このような状況だったといっていいのではないかと思います。見たこともない単語があふれていました。

 

ただ、このGREテストというのは、私のような理系の学生だけではなく、英文学や言語学のような文系の学生も統一的に受検することになっていたので、アメリカ人自身でさえも難しいとされており、特に理系の大学院の中には、General Testの英語のスコアは要求しない大学院も、当時結構多かったと思います。その一方で、数学の能力をみる数学テストは、日本人にとっては比較的簡単でした。なので、私はもう最初から英語のテストの方は捨ててしまって、数学のテストで満点を取ることに集中する戦略を取ることにしました。GREテストは、朝から1日に渡って試験が行われることになるので、英語の試験の時間は、開始の合図とともにサーっとマークだけしてしまい、残りのテストの時間は目をつぶってリラックスして体力を温存することに務め、数学のテストに全力を尽くすようにしていたと思います。実際には得点の調整が行われるので、最低点は0点になることはなかったのですが、英語の試験については、実質的に0点だったといってよかったと思います。その一方で、数学テストの方は実質的に満点を取ることができました。あと論理・推論のテストで、そこそこ取れていれば、まあ要求されていた合計得点を満たすことができたので、GREテストについては、なんとか必要条件を満たすことができました。

 

私たち外国人にとっては英語ですが、しかしアメリカ人やイギリス人にとっては国語なわけです。当たり前のことなのですが、なかなかそのことに気がつくことはできませんでした。アメリカ人やイギリス人にとって、古文や漢文を含む日本人の国語のテストは、かなり難しいだろうと思います。同じように考えれば、日本人にとってもアメリカ人やイギリス人の国語は難しいはずです。なぜならば、その言語を話している人々の文化や伝統、歴史など、その言語を話す人々の背景についても学ばなければならないのだろうと思うためです。なので、言語を習得するということはそんなに簡単なわけがなかったのだろうと思います。