英語の勉強 25ー英語力向上のためにおこなってきたこと 16
このようにして、辞書と首っ引きで、英語の書籍、特に私の場合であれば、英語で書かれた進化遺伝学の専門書を、あたかも格闘するかのようにして読んできました。前にも言いましたが、わからない単語が出てきたら、とにかく辞書を引いて、しかもそこでその単語を暗記しようとして止まることがないようにして、先を読み進めていきました。でも最初のうちは、前のほうで出てきた同じ単語を、何度も何度も調べることになります。嫌になりながらも、こんなことを何回も何回も繰り返していくうちに、頭の悪い私でも、同じ単語であれば辞書を引かなくても済んでいくようになるのですね。つまり、辞書を引かなくても、だんだんと読み進めることができるようになっていきました。とにかく、わからない単語に出会ったら、その都度、その単語を辞書で調べることは必ず行うことにして、どんどんと読み進めていくと、辞書を引かなくてもわかる単語がどんどんと増えていくことになったのだろうと思います。他人事のような書き方ですが、実際のところ、私自身、辞書で英単語を調べることは、もうなんの苦もなくなってしまいましたから、辞書さえあれば、どんな英文でも読むことができるという自信はあります。もちろん、大学の入学試験などでは、英単語をいくつも覚えていかなければならないのでしょうが、別に大学受験をしているわけでもありませんし、英検を受験するつもりもないので、辞書さえあればどんな英文でも読めるという自信がある以上、自分の単語力がどの程度なのかということは、それほど大きな問題ではなくなってしまいました(あくまでも参考程度ですが、センター試験や共通テストのリーディングであれば、ほぼ完答できる程度ではあると思います)。
私がイギリスのエジンバラ大学でお世話になっていた教授には、700ページ以上にもわたる進化遺伝学の専門的な著書があります。もちろん英語で書かれたものですが、私は2008年に台湾から帰国した後、研究職をみつけられなかったものですから、介護施設などでアルバイトをして生活費を稼ぎながら、勉強の一環として、イギリスでお世話になっていた教授が書かれた、この英語で書かれた700ページ以上にもわたる恐ろしいほどの分厚さのある専門書を読み進めていきました。アルバイトで忙しかったということもありましたが、毎日1ページ読むことを目標にして、日本語の訳をノートに書き留めていきました。すべて読み終えるのに3年半(1000日以上)かかったと記憶していますが、まさに格闘するといったような感じで読了することができました。でも、この毎日1ページずつ、英語で書かれた専門書を読み進めることは、結果的に、私の英語力の向上に大きく貢献してくれたと思います。一つは、毎日のように、辞書と首っ引きで3年半の間、英語で書かれた専門書を読み進めていったので、英単語を覚えることが苦手だった私でも、単語力はそれなりについたと思います。そして、もっと大事なことだったと思うのですが、口語ではなくフォーマルな英語で書かれた専門書を読むことによって、英文法の勉強にもとても役立ったと思います。小説などの英語の文学作品のように、スラングが使われていたり、省略されていたりすることが多い会話文がほとんどない、カッチリとしたフォーマルな英文で書かれているので、英文法を勉強するには、とても役立ったと思います。そして、毎日のように、英語の教科書を1ページを目標に日本語に訳すことによって、英語的な思考の流れで日本語を作文していく訓練ができたと思います。私の拙い日本語の作文能力でも、多少はわかりやすく書くことができるようになったと思います。
今の中学生や高校生は、勉強しなければならないこともとても多くて大変だと思いますが、もし時間の余裕があったら、何か自分が好きだったり、興味を持っていたりする分野の入門的な英語の専門書を手に入れてもらって、それを毎日1ページずつでも、少しずつ読み進めることができれば、英単語、英文法、英文和訳など、とても多くの英語の技能を向上させることができるだろうと思うのですが、どうですかねえ。やはり、時間が足りないですかねえ。「解体新書」を翻訳した前野良沢や杉田玄白といった日本人の大先輩のように、この作業から得られるものはたくさんあると思うのですが、忙しそうな中高生を見ているととても残念に思っています。