翻訳作業 9日目
本日から、多少専門的な話題に入っていきます。しかし、論文ほど厳密に専門的といったわけではなく、もう少し一般的なお話として、私の背景を述べさせてもらおうと思って書きました。大学院生時代やその後のポスドク時代に、研究者としての修行を積んできた自分が、どういったわけで高齢者介護の世界に関わるようになったのかを、この章の中で説明するつもりでした。本文の中では、まず大学院生として私が行ってきた殺虫剤抵抗性の研究についての導入から始めています。
自然集団における殺虫剤抵抗性
私はもともと、大学院で殺虫剤抵抗性について研究してきました。J. F. Crow という高名な遺伝学者が1957年に発表した、殺虫剤抵抗性に関する古い論文(Crow, 1957)に触発されて、殺虫剤抵抗性の発達過程を進化遺伝学的に研究したいという志をいだきました。殺虫剤は主に農業の分野で使用されており、害虫による被害を抑えるために散布されるものです。ですので、殺虫剤抵抗性に関する研究は、主に農学系の研究室や研究所などで盛んに行われていましたが、殺虫剤抵抗性を進化遺伝学的に研究できるところは、私が大学院生時代にはほとんどありませんでした。(三代、2021、p. 1)
今回も、Google翻訳で出力されてきた英訳を参考にして、必要なところに修正を行い、以下のような英訳としました。
Insecticide resistance in natural populations
I originally studied insecticide resistance in graduate school. Inspired by an old paper on insecticide resistance published in 1957 by a renowned geneticist named J. F. Crow (Crow, 1957), I came to aspire to study evolutionary genetics of the developmental process of insecticide resistance. Insecticides are mainly used in the field of agriculture and are sprayed to control the damage caused by pests. Therefore, research on insecticide resistance has been actively conducted mainly in laboratories and research institutes of agricultural sciences. However, at that time when I was a graduate student, I could hardly find any research laboratories where I could study insecticide resistance from the standpoint of evolutionary genetics.
殺虫剤抵抗性の発達過程という表現は、英語にすると the developmental process of insecticide resistance になると思うのですが、developmentalという単語には developmental biology(発生生物学)というように発生的という意味もあります。殺虫剤抵抗性は、あくまでも初期に低頻度で存在していた抵抗性遺伝子が、殺虫剤によってふるい分けられていく集団遺伝学的な意味での選択過程なので、developmental process という言葉を、悪意を持つ人であれば、意図的に曲解しかねないので、誤解される心配が少なからずあるのですが、他に適切な単語も思いつかないので、以後この抵抗性の発達過程を少し詳しく説明することで、その心配をなくすように試みています(次の段落で)。特に科学的な専門用語であれば、もともと英語などの外国語の単語が日本語に翻訳されている場合が多いと思うので、専門用語とも言えないような英単語を専門的な日本語に翻訳する過程で、いろいろと誤解を招きかねないという現実はあるのではないかと思います。ただこれは、これまで西欧から科学を輸入してきた日本としては、やむを得ないところなのだろうと思います。