翻訳作業 後期第13日目

翻訳作業 後期第13日目

 

本日は、次の段落に進みます。高齢者介護の現場での介護職員の不足のことについて述べています。私は本文において以下のように述べています。

 

例えば、介護の現場では、介護職員が足りないと叫ばれて久しいと思いますが、その状態が改善されているようには一向に見えません。もう国としても改善するつもりもないのではないかとも思ってしまいますが、このように職員が不足している状況では、利用者に対してできることというのは本当に何もなくなってしまうのです。ただテレビの前に高齢者を集めて、ずっとテレビを見ていてもらうことぐらいしかできなくなってしまいます。これからさらに高齢者の割合が上昇していくことが予想されています。もう30年~40年もしたら、高齢者は総人口の中で40%近くになり、認知症の高齢者も1000万になってしまうぐらいの数になっていると予測されています(Cabinet Office Japan, 2017)。はっきりといって、これがどのような状況であるのか、私自身全く想像することができません。介護の現場はすでにカツカツの状態なのに、さらに高齢者の数が増えてしまったら、本当に大丈夫なのだろうかと心配な気持ちになる私の気持ちもお判りいただけるでしょうか?(本文 p. 124)

 

先日述べた認知症対応型グループホームでは、施設の利用者のQOL(Quality of Life: 生活の質)のために、介護職として何ができるのかをいつも考えながら仕事をするように指導されました。私の周りの先輩職員の方々も、皆それぞれ一生懸命に仕事されていましたし、時に反発しあうこともあったと思います。実際、フロアのリーダーの方向性に納得できずに、結局私はそのグループホームを退職することになりました。これも、職員が十分に配置され、それぞれが高齢者のQOLを考えることができたが故だと思います。しかし職員の数が足りないと、利用者のQOLの向上のために何かをするということが、そもそもできなくなってしまいます。この職員不足の状況を変えようという意図が見えないとすれば、国ももう高齢者のQOLのことなど考えている余裕はないということになるのではないでしょうか。ということで、以下のような英訳を得ました。

 

For instance, in the actual field of nursing care, there has long been a noted shortage of nursing staff, but the situation does not appear to be improving. It seems to me that the government lacks the intention to address and ameliorate this issue. However, with such a shortage of staff, there is little that can be done for the users. All we can do comes down to gathering elderly individuals in front of the TV and asking them to watch continuously. With the proportion of elderly individuals expected to rise in the coming years, predictions indicate that in another 30 to 40 years, the elderly will constitute nearly 40% of the total population, with the number of elderly individuals suffering from dementia reaching nearly 10 million (Cabinet Office Japan, 2017). Frankly speaking, I cannot fathom the extent of the situation. The nursing care field is already in a dilapidated state. Can you comprehend the depth of my concern regarding whether things will truly be okay if the number of elderly people increases even further?

 

私は、介護職として初めて勤務した有料老人ホームで、テレビの前に集められてテレビを見ていたおばあさんの一人から、「つまらない、早く死んでしまいたい」という言葉を耳にした時に、このままでいいのかと思って、高齢者介護について真剣に研究しなければと思いました。このままでは、P. B. Medawarの警告(以前のブログ参照)が現実のものとなってしまう、なんとかしなければとの思いから研究を進めました。でも状況は、どう逆立ちしても改善しているようには、私には見えないのです。国や自治体をはじめ、介護の世界でも、もう誰も高齢者のQOLなんて考えていないように見えるのですが、実際のところ皆さんはどのようなことを考えながら、高齢者介護に関わっているのでしょうか。 三代