翻訳作業 後期第19日目

翻訳作業 後期第19日目

 

本日は、認知症スケールを考案された日本の認知症研究の第一人者であった長谷川和夫博士に関する節の最後の段落に進みます。私は以下のように記述しています。

 

長谷川和夫博士のお言葉は、とても重要な示唆を含んでいると思います。介護保険制度としての介護は、この制度を作ってきた人々、さらには、施設の職員や私たちのような家族介護者も含めて、いわば、介護を必要としていない人々によって作られ、支えられてきた制度であるとも言えるのではないかと思います。実際に自分が介護されるときに、果たしてその制度を使いたいと思えるような制度であると言えるのか、制度を作るときにそういった視点はあったのか? 認知症になった長谷川博士のお言葉は、日本のこれからの介護保険制度にとって、とても重いものだと思います。やっぱり、長谷川博士は認知症研究の第一人者なのだなあと感心しました。(本文 p. 127)

 

認知症になってしまった長谷川和夫博士のお言葉について、私が感じたことは、これまでに何日間かにわたって述べてきたので、最後は簡単にまとめます。ということで、以下のような英訳にしました。

 

I believe that Dr. Kazuo Hasegawa's words contain very important suggestions. It can also be said that elderly care, as a long-term care insurance system, has been created and supported by those who have created this system, facility staff, and family caregivers like us—that is to say, individuals who do not need nursing care. Can we say that the system is the one we would like to use when we are actually receiving care? Did we have that perspective in mind when creating the system? I believe the words of Dr. Hasegawa, who has dementia, are crucial for the future of Japan's long-term care insurance system. I was impressed that Dr. Hasegawa is still a leading expert in dementia research.

 

日本の認知症研究をリードされてきた長谷川博士でしたが、ご自身も認知症になられてしまいました。長谷川博士の晩年には、おそらくご自身も医療や介護を受けられていただろうと思います。大変失礼なことだとは思うのですが、ご自身が亡くなられる時、日本の医療制度、介護保険制度に関してどのような思いだったのだろうかと思います。私の高齢者介護のキャリアの中で、認知症対応型グループホームに勤務することが何度かありましたが、私自身、認知症高齢者の方々と関わらせていただいて、高齢者介護についての可能性といいますか、人間にとって幸せとは何かを考させていただくことができた機会だったと思っています。グループホームで生活されていた認知症の高齢者は、特に一番初めのグループホームの時でしたが、みなさん楽しそうに生活されており、決して「早く死んでしまいたい」などとは思っていないように私には写りました。認知症の高齢者の方々の介護の中に、高齢者介護の鍵があるのではないかと今でもそのように考えています。自身が認知症になりながらも、認知症の理解に貢献されてきた長谷川和夫博士は、やはり偉大なのだろうと思います。  三代