翻訳作業 後期第25日目

翻訳作業 後期第25日目

 

本日は、次の節に進みます。ブログ上では挙げていませんでしたが、これ以前の章において、認知症になってしまった祖母の介護について検討していました。ここで、認知症だった祖母の介護について、これまでの洞察を踏まえて、あらためて考察しています。私は以下のように述べています。

 

もう一度、認知症の祖母の介護を振り返る

ここでもう一度、第2章で述べたレビー小体型認知症になってしまった祖母の介護(Box 2-4参照)について振り返ってみたいと思います。認知症になってしまった祖母を、最初のうちは両親が自宅で介護していましたが、夜間に徘徊するようになり、また杖で殴りかかってきたりするようになり、最終的に有料老人ホームに入所することになりました。老人ホームでは、入居費用や食費などに加えて、排泄や入浴などの介護の費用をあわせると、私費公費含めて1か月に数十万円の費用がかかっていたことになり、年間で考えますと何百万円というオーダーの費用がかかっていたことになります。祖母は結局その老人ホームで亡くなりましたが、亡くなるまでの数年間に費用が実際にどれくらいかかっていたかを考えると、ちょっと恐ろしくなってしまいます。私の両親に祖母と同じような介護が必要になったならば、私の現時点での収入を考えると、私だけでは恐らく支えることはできないでしょう。(本文 p. 129)

 

高齢者介護とそれに伴う費用のことを議論すると、少なからず誤解されてしまうことが多いのだろうと思いますが、あえて誤解を恐れずに議論を進めたいと思います。結局、これまで介護職として高齢者介護の現場で働いてきて私が感じたことは、これだけ莫大な費用と時間、エネルギーをかけているのにもかかわらず、介護を必要とされている利用者の方々が本当に望んでいるところまで手が届いていないのではないのかということであり、介護を必要としている高齢者のニーズに応えるためには、本当にこれだけの費用、時間、労力が必要なのかというところを議論したいと思っています。決して高齢者介護を蔑ろにするつもりはありませんが、そうかといって今のままでいいとも思えません。今後議論していくことになりますが、この節の最初の段落については以下のような英訳としました。

 

Looking back again on care for my grandmother with dementia

Here, I would like to once again look back on the care provided for my grandmother who suffered from Lewy body dementia (see Box 2-4), which I mentioned in Chapter 2. At first, my parents took care of my grandmother, who had dementia, at home. However, she began wandering around at night and hitting them with a cane. Eventually, my parents had to make the difficult decision to move her into a paid nursing home for the elderly. In a nursing home, in addition to rent and food expenses, the costs of nursing care, including toileting and bathing, had to be accounted for. The monthly cost amounted to several hundred thousand yen, encompassing both private costs and public funds. This means that, in total, the yearly expenses reached the order of several million yen. My grandmother ultimately passed away in that nursing home, and it is somewhat unsettling to contemplate the actual cost incurred during the years she spent there. If my parents needed the same type of care as my grandmother, supporting them on my own would likely be challenging given my current income.

 

難しい議論になると思いますが、私が実際に高齢者介護の現場で見たり感じたりしてきた経験に基づくものです。確かに、私は介護職としては、ケアマネ資格の取得要件であった正味5年間(当時)ほど働いただけだったので、介護職としての経歴は大したことはありません。私よりもずっとベテランの職員はいっぱいいることだろうと思います。ただ、長く続けておいて、施設なり制度なりを批判するのはちょっと違うような気がします。その人のそれまでの年月は、いったいなんだったのかと思うからです。私のように、不満があるからこそ続けられないわけで、だからこそ批判もできるのだろうと思います。実際、介護保険制度の枠組みの中で介護職として働くつもりはもうありません。介護を必要とする高齢者のニーズに応えられないのは目に見えているからです。皆さんの意見をぜひ伺ってみたいところです。 三代