翻訳作業 後期第26日目
本日は、次の段落に進みます。昨日以来、際どい議論をしていると思います。誤解する人も少なからずいるのではないかと思いますが、もうしばらくお付き合いいただければと思います。認知症になってしまった祖母が有料老人ホームに入所し、そこでの生活について記述しているのですが、私は以下のように述べています。
それでは、有料老人ホームに入所していた間に、祖母はどのような生活をしていたのでしょうか? 祖母はもともと体はとても丈夫だったと思います。大正生まれで、戦中戦後の混乱期を乗り越えてきた女性に特有ともいえるような、骨太さというか、タフネスの感じられる人でした。なので、祖母自身、老人ホームにいることを嫌がっていたのではないかと思います。実際、私たちが見舞いに行くと、帰ろうとする私たちと一緒に、ホームから出ていこうとすることがありました。私たちが迎えに来てくれたと思ったのかもしれません。また、寝ている状態で排泄介助を受けているときに、“何するんだよ!”と言って、職員につかみかかっていこうとしているところを何度か見たことがあります。そんな、いってみれば元気なおばあちゃんだったのですが、老人ホームに入所していた数年の間に、祖母は3回骨折してしまい、以後ほとんど寝たきりとなってしまったのでした。(本文 p. 129〜130)
私も高齢者介護の施設で働いてきた人間ですので、施設の利用者の転倒に注意しなければならないことは十分に理解することができます。施設職員の主な任務の一つは、と言いますか、唯一無二の仕事なのかもしれないのですが、利用者の安全に気を配ることだろうと思います。しかしながら、あまりにも注意を向け過ぎてしまうと、「お願いですから、じっと座っていてください」ということになってしまうのだろうと思います。私も働いている時には、この塩梅と言いますか、転倒のリスクと利用者の活動との間のトレードオフについて、いつも悩んでいました。ということで、この話は明日も続きますが、本日のところについては以下のように英訳しました。
Well then, what kind of life did my grandmother lead while she was in a paid nursing home? I think my grandmother originally had a very strong body. She was born in the Taisho era and let me feel her robustness or toughness, which could be described as characteristic of women who endured the tumultuous period during and after World War II. Therefore, I think my grandmother herself disliked living in a nursing home. In fact, when we visited her, she would occasionally attempt to accompany us as we were about to leave. Maybe she thought we had been coming for her. In addition, while receiving assistance with excretion in a sleeping state, I observed her exclaiming, 'What are you doing!' and attempting to grab a care staff member on several occasions. Simply put, my grandmother was such a quite active woman once, but experienced three bone fractures during her several years in the paid nursing home. As a result, she became almost bedridden thereafter.
これまでも度々議論してきましたように、介護職員が不足してしまうと、介護施設におけるその唯一無二とも言える利用者の安全の確保さえも困難になってきます。本当に、「テレビの前にじっと座って、おとなしくテレビでもみていてください」ということしかできなくなってしまいます。これでは利用者の皆さんも嫌になってしまうでしょうし、家に帰りたくなるのも当然だと思うのです。家に帰ろうとする利用者を騙しすかししながら、あの手この手を使って納得させようとすればするほど、他の利用者に対する注意が不足することになるので、目が行き届かなくなって事故が発生しかねないとても危険な状態となります。