翻訳作業 後期第30日目
本日は、私自身の両親の介護に関する節の次の段落に進みます。私の両親の介護における私のテーマについて記述しているところです。私は以下のように述べています。
私がこれまで用いてきた進化遺伝学的モデルから導かれる結果や、例えば祖母仮説(Hawkes et al., 2000)のような進化学的な仮説から得られる知見に基づくならば、自分の両親や知人に対する私の介護におけるテーマは、高齢者をただ死を待つだけの存在にし、若者世代に対してコストのみを課すような高齢者介護の在り方ではなく、いかにして子や孫の世代に対して寄与することができるかを考えた、高齢者介護の在り方を考えていくこと、これに尽きると思います。祖母の介護や、介護職員として介護施設で勤務していく中で、祖母をはじめ高齢利用者の方々から多くのことを教えていただいてきました。私に、介護に関する多くの選択肢を与えてくださったと思っています。(本文 p. 131)
例えば、祖母仮説が示唆しているように、繁殖を終えた後の高齢者の延長された寿命が、次世代の繁殖に寄与することによって進化してきたとするならば、そもそも繁殖自体、祖父母のような高齢者の協力があって初めて成立する極めて困難な事業であると言えるのだろうと思います。とすれば、一人で子育てをするとともに、仕事や家事もこなさなければならないという現在の若いお母さんたちは、とても過酷な状態に置かれていると言えるのではないでしょうか。このように、進化遺伝学的な観点から見てみると、今のこの世の中の状態というのは、いろいろと改善しなければならないことが見えてくるのではないかと思います。育児に関することなど、いかにして、高齢者世代を若者世代の繁殖に寄与させることができるのかを考えていくことは、高齢者の介護を考えるとともに、少子高齢化の進展を考えた時にも、とても大切な視点を提供してくれるのではないかと思います。ということで、以下のように英訳してみました。
Based on the results obtained from the evolutionary genetic models I have employed so far, along with insights from evolutionary hypotheses such as the grandmother hypothesis (Hawkes et al., 2000), I believe that my approach to caring for my parents and acquaintances revolves around contemplating how the elderly can actively contribute to the well-being of our children and grandchildren. That is my perspective, which may contrast with a current caregiving style that views the elderly as merely waiting for death and places burdens solely on the younger generation. While caring for my grandmother and working as a care worker at nursing care facilities, I have gained valuable insights from both my grandmother and elderly users. I believe that they have provided me with numerous perspectives on elderly care.
今後も、単独で生活される高齢者の世帯や、高齢者夫婦のみからなる世帯が増えていくのでしょうが、もし高齢者の繁殖停止後の延長された寿命が若者世代の繁殖に寄与することによって進化してきたとするならば、若者世代の繁殖に貢献することは、人間の長い進化の過程で、いわば人間の自然本性として組み込まれてきた形質であり性質だろうと思います。とするならば、単独で生活されている高齢者や高齢夫婦世帯の増加のように、若者世代の繁殖に寄与できない現在や近い将来の高齢者が置かれている状況は、人間に組み込まれてきた自然本性を発揮することができない、いわば病的な状況であると言うこともできるのかもしれません。高齢者の認知症に関することなど、進化医学からの知見が蓄積されていくことを期待しています。 三代