翻訳作業 後期第41日目
本日から、私が大学の一般教養課程において社会学と出会う経緯についてお話ししていくことになります。私は本文の中で以下のように述べています。
私は大学の教養課程で、社会学の河西宏祐千葉大学名誉教授(故人)にかわいがっていただきました。1年生の時には一般教養課程の社会学の講義でお世話になり、2年生の時には“社会調査セミナー”を受講し、自分が高校中退し、大学入学資格検定を受けたときの経験を、河西先生からご指導を受けながら、一年かけてレポートにまとめたりもしました。専門として進化遺伝学を学んできた私が、高齢者の介護や家族介護という社会的な問題に取り組むためにとることができる唯一のアプローチは、大学の一般教養課程の“社会学”の講義や“社会調査セミナー”のなかで、河西先生から教えていただいたアプローチだけでした。(本文 p. 137〜138)
高齢者介護施設、特に認知症高齢者のグループホームで働いていく中で、認知症高齢者にとっての幸福とは何か、幸せな老いとはどういったことなのかというようなことを、少し本格的に勉強してみたいと思い、精神保健福祉士の資格を取ろうと思って、自宅から自転車で通えるくらいのところにある大学の通信制の課程で勉強していたのですが、そのプロセスにおいて、高齢者介護を進化遺伝学的な観点から研究することを具体的な形で構想するようになりました。ただ、高齢者介護は福祉の領域でしょうし、私はずっと自然科学の世界で学んできたので、どうしたものかと考えていた時に、心に浮かんだのは、大学の学部生時代に、一般教養過程でお世話になったことがあった社会学教授の河西先生のことでした。ということで、上述の日本語については、以下のように英訳しました。
During my general education course at university, I was mentored by the late Professor Emeritus Hirosuke Kawanishi from Chiba University. In my first year, I enrolled in a sociology class as part of the general education curriculum, and in my second year, I participated in "Social Research Seminar." Throughout this seminar, I spent a year compiling a report while receiving guidance from Professor Kawanishi, and presented my personal experience of dropping out of high school and subsequently taking the University Entrance Qualification Examination. As an individual who has majored in evolutionary genetics so far, the only approach I can take to address the social issues of elderly caring and family caring was what I learned from Professor Kawanishi during the "Sociology" lectures and "Social Research Seminar" during my general education course at university.
私が高齢者介護を進化遺伝学的な観点から考察した初めての論文を執筆していたのは、2015〜2016年頃のことだっただろうと思います。論文の原稿を書き上げた上で、それを読んでいただきながら、社会学教授の河西先生からご批判はもちろんのこと、今後の研究の進め方などについても、個人的にいろいろとご示唆をいただければと考えていました。千葉大学を退官されたあとどうされていたのか、ネットで探しながらも、消息をつかめないまま、時間が経ってしまっていました。最初日本語で執筆して、日本の高齢者福祉系の学会の雑誌に投稿しようとしていたのですが、いろいろと不愉快な思いをし、結局英語で遺伝学系の雑誌に投稿することにしたので、原稿を英訳したり、内容をより遺伝学遺伝学したものに改めるために書き直したりして、昔お世話になっていた河西先生に、ぜひいろいろなアドバイスをいただこうと思っていたのですが、かなり手間取ってしまっていました。ネットの情報なので、詳しいことはまったくわからないのですが、どうやら、私が初めて高齢者介護を進化遺伝学的な観点から考察した論文を執筆していたこの頃に、お亡くなりになられてしまったようです。河西先生からいろいろとお話を伺うつもりで楽しみにしていたので、とても残念に思いました。しかしその一方で、20歳の頃、河西先生にご指導を受けながら、社会調査セミナーでレポートをまとめていた頃のことを私が忘れずにいたこと、そしてあいも変わらずに不器用なままでいる自分のことを、河西先生は喜んでくれていたのではないかとも思っています。なんだか、とても不思議な気持ちになりました。 三代